港湾局、クルーズ環境整備に向け検討委、官民共同の提案募集

  • 2016年9月12日

検討会の様子  国土交通省港湾局は9月9日、「官民連携によるクルーズ拠点形成検討委員会」の初会合を開催し、クルーズ船の受入環境整備に向けて、クルーズ船社と地方自治体からの共同提案を募集することを決定した。30日の第2回会合で募集要項の詳細を検討し、10月から募集を開始。2017年3月を目途に採用する提案を取りまとめる予定だ。港湾局長の菊地身智雄氏は「クルーズ船社の要望を踏まえて、新しい仕組みづくりを念頭に検討を進めていきたい」と意欲を語った。

 港湾局によれば同委員会の設置は、政府が「明日の日本を支える観光ビジョン」で発表した、2020年の訪日クルーズ旅客数500万人の目標を見据えたもの。外国船社を中心に各地でクルーズ客船の寄港が増加するなか、クルーズ船社からは「岸壁を優先的に利用できるようにして欲しい」という要望や、旅客施設や周辺の商業施設などへの投資に意欲を示す声が挙がっているという。

 こうした状況を踏まえて港湾局は、クルーズ船社と港湾管理者である地方自治体から、港湾の利用促進につながる共同提案を募集することを決定。「クルーズ船社が旅客施設を整備し、それに合わせて自治体がクルーズ船社に岸壁を優先的に利用させるような提案」などを想定しているという。具体的な募集要項や件数の目標については未定とした。

 なお、港湾局によれば16年上半期(1月~6月)の寄港回数(速報値)は前年比56.3%増の933回で、このうち外国船は67.6%増の704回、日本船は29.4%増の229回。クルーズ船の寄港が増加するなか、港湾施設の設備不足や、寄港地が博多や長崎など西日本の一部の港に集中する傾向にあることが課題になっている。