週間ランキング、「変なホテル」が浦安に、JAL/ANA決算も

[総評] 今週の1位は、エイチ・アイ・エス(HIS)グループの「変なホテル」が2017年3月末までに2軒目として浦安に開業を計画していることをお伝えした記事でした。恐竜のロボットが接客をする姿など、名が体を表す「変さ」を色々なメディアで目にしますが、話題性だけでなくビジネスとしても順調なようです。

 変なホテルは「スマートホテル」をコンセプトとした新事業として2014年11月に発表され、2015年7月に営業が始まりました、当初はなんでこんな名前に、とかなりの方が思われたはずですが、結果的には澤田氏や関係者の方々からすればしてやったりでしょう。海外メディアでもイギリスのガーディアンやアメリカのフォーチュンなどが「The Weird Hotel」と報じていました。

 こうして見ると、もちろん話題性がすべてではないものの、名前を付けるということの重要性を改めて認識します。「名付け」という行為は、それが実行される前には対象に名前がないことを意味します。言い換えると、「名付ける」ことは名前のないものの集合からあるものを取り出すことです。

 旧約聖書の冒頭でも、神がまず天と地を創造して光と闇を現出させ、そして光に昼、闇に夜と名付け、それによって1日ができあがったと書かれています。こうしたことを考えると、名付けとは今までなかったものを「ある」ようにする、つまり「存在させる」役割を持つわけで、言葉には普段感じられる以上に大きい力があるのだと気付かされます。

 また、ビジネスの現場でも「言葉には言霊(ことだま)があるから口に出して言い続ければ実現する」といった文脈で登場する、「言霊」という考え方があります。デジタル大辞泉によると「古代日本で、言葉に宿っていると信じられていた不思議な力。発した言葉どおりの結果を現す力があるとされた」そうで、その厳密な真偽はさておきなんとなく得心が行くのも、それが言葉だからではないでしょうか。

 このほか目を引くところでは、4位の記事で日本航空(JL)の利益が前年から3割減と急減しています。しかし売上の下げ幅は5%未満に留まっているのが特徴で、全日空(NH)などANAホールディングスの決算もランク外で入っていますが(リンク)、こちらも同じような結果です。

 売上の減少率よりも利益の減少率が高い場合、当然のことながら売上高営業利益率が低下することになり、JLは11.6%あったところから7.4%になりました。JLは2011年度から5年連続で10%超を維持しており、ANAHD代表取締役会長の伊東信一郎氏が「(航空会社として)異次元」と評されたこともありましたが、6年目の達成には黄信号が点ったかもしれません。

 一方で、NHも4.0%から3.5%となっており、差は縮まっていますが大きな開きがあることには変わりません。1000億円以上多く売っているのに営業利益は80億円近く少ないというのは、NH側からすれば今までの経緯を含めてやるせない思いがするでしょう。

 NHは下期に羽田/米国線でさらなる増便を予定しているところで、売上の差はさらに広がる可能性があります。逆にJLは来年3月で航空局からの「ペナルティ」の期間が終わりますが、これまでの路線を踏襲すれば身の丈にあった成長をめざすでしょう。

 2020年に訪日外客数が4000万人に到達し、日本人出国者数が1800万人程度を維持するとすれば、単純計算で6000万人分のアクセス手段が確保されなければなりません。ちょうどリオでオリンピック・パラリンピックが開幕しましたが、これからの4年間でどのように事業を展開していくか、日本の航空業界を代表する2社から目が離せません。

 なお、この記事を掲載したメールニュースは8月6日の朝刊として配信しますが、通算6000号となりました。これもひとえにご愛読いただいている皆様のおかげです。心より御礼申し上げますとともに、今後ともお引き立てを賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。(松本)

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