今年もWIT開催、OTAの販路や民泊など議論

3日のカンファレンスの様子  オンライン旅行業界の国際会議「Web in Travel(WIT)Japan & North Asia 2016」が6月2日と3日、東京で開催された。WITは2005年にシンガポールで始まったイベントで、日本での開催は5回目となる。今回のテーマは「Reboot」で、旅行業界やIT業界から多くの要人が参加し、現在の市場の動向や今後の展望などについて意見を交換した。

 6月2日には「ブートキャンプ」として旅行市場の動向や各社の事例から戦略を学ぶ勉強会を実施したほか、スタートアップ企業数社によるビジネスプランのコンペティションもおこなった。3日にはカンファレンスを開催し、OTAを含む旅行会社、航空会社、ホテル・旅館、IT関連企業などからパネリストが多数登壇。2日には269名が、3日には1日の参加者数としては過去最高の464名が来場した。

WIT Japan & North Asia副実行委員長の浅生氏  同会議の副実行委員長でアゴーラ・ホスピタリティーズ代表取締役社長の浅生亜也氏は本誌の取材に応え、「オンライン市場は急速に変化している。旅行市場よりも広い市場のなかにお客様はいる」と説明。「一人ひとりの消費者の全体の行動を把握しなければ、旅行という行動をキャッチできない」と語った。また、WITには幅広い業種の企業が参加していることについて述べ、「各社の提携や新しいビジネスの創出につながった例もある」とその意義を強調した。

 このほか、浅生氏はスタートアップ企業によるビジネスプランのコンペティションについても言及した。3年前から実施している取り組みで、今年は18社が応募し、2日の選考会には9社が参加。浅生氏は「以前は既得権益や成長性の問題などから、旅行業界への参入障壁は高いと考えるスタートアップ企業が多かったが、今年は参加社が増加した」と述べ、「WITが旅行業界の将来は力強い、ということを見せる1つのきっかけになっているのでは」と喜びを示した。

 なお、3日の最終選考では、韓国でアクティビティ予約サイトを運営する「There」が優勝。10月にシンガポールで開催される「WIT Singapore 2016」で登壇する権利を獲得した。

次ページ>>>日本のOTA、アプリや検索サイトに期待、民泊参入も