観光庁、奈良でUNWTOと国際会議、テーマは「技術」

一堂に会した出席者  観光庁と国連世界観光機関(UNWTO)は6月2日、奈良市のなら100年会館大ホールで「観光と技術に関する国際会議」を開催した。日本は昨年9月、25年ぶりにUNWTOの理事国に就任したところで、観光庁とUNWTOは2月にも奈良で「遺産観光に関する国際会議」を共催したところ。今回の会議では、交通やITなどにおける最先端技術や、異業種間連携の取組事例などを紹介するとともに、技術革新が今後の観光に与える影響について意見を交換した。

田村氏(観光庁提供。以下同)  開会の挨拶をおこなった観光庁長官の田村明比古氏は「新しい旅行者の要求に既存の社会インフラが対応できなくなっている」と指摘し、業界の枠を越えたコラボレーションの必要性を強調した。続いて登壇したUNWTO事務局長のタレブ・リファイ氏は「世界は今までにないスピードで変化している。さまざまなイノベーションを受け入れなければならない」と提案。奈良県知事の荒井正吾氏も「旅行者の心に響くようなホスピタリティを実現するために、新しいテクノロジーを活用すべき」と語り、活発な意見交換に期待した。

田川氏 続いて挨拶した日本旅行業協会(JATA)会長の田川博己氏は、JATAが2013年にUNWTOとの間で「包括的パートナーシップ協定」に関する覚書を交わし、「ツーリズムEXPOジャパン」における会議の共同企画や、顕彰事業「ジャパン・ツーリズム・アワード」の設立など、さまざまな協力をおこなってきたことを説明。そのほか「テクノロジーは旅をより便利に楽しくし、旅の力や交流の力は世界の平和や地域の繁栄をもたらしてきた」と述べた。

カーター氏   各者の挨拶の後には、UNWTOコンサルタントのロジャー・カーター氏が「観光と技術」をテーマに基調講演を実施。これまでの技術革新が観光産業に与えた影響について解説した。

 その後は「旅行及び観光産業における新たな技術利用の可能性と課題」など3つのセッションを実施。同セッションでは成田空港、アマデウス、西日本旅客鉄道(JR西日本)、マイクロソフト、ノックエア(DD)からスピーカーが登壇。DDのCEOを務めるパティ・サラシン氏は「消費者の要望に応えることが大切。機内での無料Wi-Fiもその1つ」などと述べた。

 セッション「観光地における新たな技術利用の可能性と課題」ではJATA、香港政府観光局(HKTB)、インド観光省、マレーシア文化観光省などからスピーカーが登壇。HKTB事務局長のアンソニー・ラウ氏は「映像を使ったプロモーションが有効」と主張した。

 そのほか、「観光及び旅行分野における革新的取組と新たなビジネスモデル」では、トリップアドバイザー、星野リゾート、ジャマイカのアウトソーシング企業のCTICO社、日本電信電話(NTT)からスピーカーが登壇。星野リゾートサービスチーム推進室長の塩手勝久氏は、同社における業務効率化の取り組みについて説明した。そのほかにはハウステンボス、ぐるなび、総務省が、観光産業向けに訴求する最新技術を紹介した。

古澤氏  日本からはそのほか、日本政府観光局(JNTO)理事長の松山良一氏などが出席。海外からは約30の国と地域から、政府関係者や観光産業関係者が出席した。閉会の挨拶をおこなった観光庁審議官の古澤ゆり氏は「最先端の技術が将来の旅行の楽しみ方を大きく変える可能性がある」と述べ、今後の技術革新に期待した。