HIS、神奈川県と訪日誘客で協働-自治体と初の提携

  • 2016年3月29日

(左から)神奈川県知事の黒岩氏、HISの平林氏  エイチ・アイ・エス(HIS)と神奈川県は3月29日、インバウンド観光推進に関する協定を締結した。相互連携と協働により、インバウンド観光促進のためのモデルの構築をめざす。HISが地方自治体と協定を結ぶのは今回が初めて。神奈川県にとっても、民間の旅行事業者との提携は初めてとなる。

HISの平林氏  同日に開催した記者会見で、HIS代表取締役社長の平林朗氏は、神奈川県を提携先に選んだ理由として、同県の訪日旅行に関する潜在力の高さを強調した。観光庁の宿泊旅行統計調査によれば、2015年の神奈川県の訪日外国人の延べ宿泊者数(速報値)は前年比51.7%増の217万2550人泊で、47都道府県中第9位。平林氏は「神奈川県は川崎や横浜、箱根、鎌倉などの有名な観光地以外にもかなり有望なコンテンツがある」と語るとともに、同社が横浜などでクルーズを活用した訪日外国人の誘客に注力している旨を説明。提携により「(訪日外国人の延べ宿泊者数を)全国第5位にするよう尽力していきたい」と語った。

神奈川県知事の黒岩氏  神奈川県知事の黒岩祐治氏は、19年のラグビーワールドカップの決勝戦が横浜で開催されることや、東京オリンピックのセーリング競技が江の島での開催されることについて触れ、「こうした追い風を最大限に活かして、インバウンド観光を進めていきたい。そのためにはインバウンドを積極的に展開している民間事業者とどう連携するかが重要」と強調。同県では19年までに、訪日外国人向けのツアーを1000件認定する計画を発表しており、5月以降を目途に協議会を設置し、今年からツアーの認定をおこなう予定だ。HISとの取り組みを通し、通常では立入禁止のダムを見学するツアーなど、同県ならではのツアーの造成を促す。

 HISによれば、ターゲットとしてはボリュームゾーンである中国からの団体客に加えて、韓国や台湾、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシアなどのFIT層の誘致に注力し、クルーズ客に対してもアプローチをおこなっていく。平林氏はFIT層に対し、三浦半島や相模湖など「設備は整っているが、まだ海外では有名ではない場所」をアピールしていく方針を示した。また、黒岩氏は、同県が横浜や箱根、鎌倉に次ぐ「新たな観光の核」として、城ヶ島・三崎地域、大山地域、大磯地域の3地域の整備を進めていることを紹介。訪日外国人の訪問先を県内各地に広げる考えを示した。

 協定の締結をもとに両者は今後、神奈川県の観光資源の発掘や磨き上げ、海外でのプロモーション、訪日旅行ツアーの企画・販売、観光人材の育成を実施。観光資源については、県が市町村や民間企業から観光情報を収集し、HISに提供する。HISは世界64ヶ国134都市215拠点のネットワークを活用して、訪日外国人のニーズを把握。同社が主催するバスツアーの車内などでも、県内の観光資源や土産物などに関するアンケート調査やプロモーションを実施する。

 海外でのプロモーションについては、HISの海外支店で県の観光パンフレットなどをアピール。また、HISは県の協力のもと、プロモーション用の観光情報を集約し、他の事業者も活用できるようにする。訪日旅行商品の企画・販売では、HISが県や県内の観光協会などと共同で着地型観光を開発し、ツアーに盛り込む。観光人材の育成については、県が民間企業などの職員を受け入れる行政実務研修員制度を活用。HISは日本人1名と、ベトナム法人の現地スタッフ2名を派遣する。なお、人材育成については、別途2者間で協定を締結する予定だ。