16年度航空局予算は4%増の3845億円、羽田機能強化など

  • 2015年12月29日

 政府がこのほど閣議決定した2016年度予算案で、国土交通省航空局関係予算は前年度予算比4.1%増の3845億円となった。「首都圏空港の機能強化」「訪日外国人旅行者の受入れ環境整備などによる地域の活性化」「航空の安全・安心の確保」の3つが基本方針で、羽田の機能拡充に向け同空港への予算を大幅に引き上げたことなどが特徴。同局は予算概算要求では15年度予算比7%増の3953億円を要求していた。

 羽田の予算は206億円増の498億円で、飛行経路の見直しに必要となる航空保安施設や誘導路などの整備に関する調査や設計などを実施。あわせて駐機場の拡充、際内トンネルの整備、空港アクセス道路の改良などもおこなう。予算額498億円のうち「新しい日本のための優先課題推進枠」が121億円を占める。

 成田は5億円増の44億円で、耐震対策に加えて、CIQエリアの利便性向上に向けた調査に取り組む。運営会社の成田国際空港は、自己財源の約470億円で高速離脱誘導路やエプロンの整備などを実施する予定。1時間あたりの処理機数の向上をはかる。

 関空と伊丹は増減なしの83億円。両空港で航空保安施設のなどを改善するとともに、訪日外国人旅行者の増加に対応するためCIQ施設の充実をはかる。

 中部は9億円増の12億円。航空保安施設の改善などに加えて、リニア中央新幹線開業後の需要を見据えた今後の空港のあり方について調査を実施する。運営会社の中部国際空港は自己財源の約37億円で、駐機場の整備などをおこなう予定。

 その他の一般空港などについては、76億円増の819億円を配分。那覇と福岡では滑走路増設事業を引き続き実施し、そのうち福岡についてはコンセッションによる経営改革などで財源を確保した上で事業を進める。新千歳では急増する訪日外国人旅行者による混雑の解消などに向け、国際線エプロンの拡張などを実施する。

 そのほかには、仙台空港の運営権委託など空港経営改革の推進に前年並みの6億円、管制空域の再編など航空路整備事業に49億円増の319億円、空港周辺環境対策事業に9億円減の21億円、離島航空事業助成に11億円増の64億円を充てる。さらに羽田、成田、関空、中部の4空港でボディスキャナーの導入を支援するなど、前年並みの80億円を使用して保安対策の強化をはかる。

 また、新たに国管理空港の国際線着陸料を軽減する制度を導入し、羽田、新千歳、福岡以外に新規就航または増便する国際旅客定期便と国際旅客チャーター便の着陸料を、1年間にわたり半分にする。地方管理空港への路線誘致活動についても、着陸料の半分相当を地方創生新型交付金から拠出する仕組みを検討しており、16年度からの開始をめざすという。