プライスライン、訪日市場拡大に意欲-日本人向けサービス強化も

  • 2015年5月10日

プライスライングループ代表取締役社長のダレン・ヒューストン氏 Booking.comやAgoda.comなどを展開するプライスライングループは、訪日旅行市場への取り組みを強化する方針だ。先ごろ来日した、同グループ代表取締役社長でBooking.com最高経営責任者のダレン・ヒューストン氏は「日本は今年、我々にとって、アジアの中でも最大のデスティネーションになっている」と重要性を強調。円安基調やビザの緩和、羽田の再国際化、2020年の東京オリンピック、パラリンピック開催などで訪日需要が高まる中、日本の旅館やホテルの取扱拡大をはかる考えだ。

 ヒューストン氏によると、Booking.comが取り扱う日本の施設数は3月現在6660施設で、このうち旅館は1226軒。ヒューストン氏は「(旅館は)あと5000から6000軒くらいはサイトに掲載することが可能」とし、取扱拡大に意欲を示した。引き続きBooking.comが持つ幅広い海外ネットワークをアピールしていく方針だ。同社は212ヶ国において42言語で展開しているという。また、プライスライングループとしては、2014年8月に中国のオンライン旅行会社Ctrip.comに出資しており、中国の訪日需要にも強い。さらに、アジアを拠点としたAgoda.comも含めると「非常にリーチが大きい」という。

 また、ヒューストン氏は、旅館の宿泊プランについて、宿泊のみ、宿泊と食事のセットプラン、日帰り温泉と食事のセットなど「(外国人にとっては)非常に複雑な宿泊商品」であると課題を挙げた。今後は外国人宿泊者にわかりやすいよう、旅館と共に商品を開発していく考えだ。

 さらに、日本人の利用者の取り込みもはかる。同氏は日本人はプライスライングループにとって「日本国内でも海外でも(取り扱いは)伸びているが、予約についてはそこまでは大きな顧客基盤ではない」と現状を説明。ただし、日本人の旅行形態については、LCCの増加やデジタル化の進行、モバイルデバイスの台頭などで「旅行商品を切り分けてそれぞれ単体で購入する傾向が出てきている」とし、「インターネットでの旅行方法はますま主流になっていくのでは、と自信を深めている」と述べた。

 同氏によると、例えばBooking.comでは、日本語版ウェブサイトの充実や、東京にカスタマーセンターを開設し、24時間365日日本語で対応するなど、サービスを強化しているところ。こうした取り組みを通し、日本人の海外旅行や日本国内の旅行での利用を増やしたいとした。