「新結合」でイノベーション、異業種とのコラボも-JATA経営フォーラム

  • 2015年3月19日

新たな要素の組み合わせで新たなビジネス
働き方の見直し、カウンター販売にとらわれない発想を

 2月18日のJATA経営フォーラムでは、「イノベーションの全体像と実現のための鍵」と題するセミナーが開催された。講師は、人材育成事業や投資事業を展開するグロービスのグロービス・コーポレート・エデュケーション マネジング・ディレクターで、「創造(ベンチャー)」領域を専門とする井上陽介氏。井上氏はこのセミナーで、イノベーションを起こすための「原理原則」と、イノベーションという言葉が指す内容の幅広さについて解説した。また、どのタイプのイノベーションをめざすのかを明確にすることが重要だとした上で、実現のポイントを示した。


ドラッカーの5原理に基づいたイノベーションを
認識の共有も重要

 井上氏は、イノベーションの原理原則について、ドラッカーによる5つの理論を紹介した。ドラッカーが説くイノベーションの条件とは、第1に顧客や社会の需要から機会を分析すること。第2に、「外に出て、見て、問い、聞く」、すなわち社外や異業種の人々と交流すること。この時、左脳的な論理性だけでなく、「面白い」と直感する右脳的な発想が鍵だという。第3に、顧客層やサービスの焦点を絞り、より単純にすること。第4に、小さくスタートすること。第5に、最初からトップの座を狙うことである。

 井上氏は、たとえば熊本県のピーアールキャラクター「くまモン」が人気に至った過程も、この5つの原理に基づいていると分析。イノベーションに向けて、「ドラッカーの5つのポイントを踏まえているか、あらためて問いかけたい」と、提起した。

 次に井上氏は、「イノベーション」という言葉はきわめて抽象的であり、人によって思い浮かべる意味が違うことを指摘。何のイノベーションの話であるか、認識を共有することが非常に重要だと強調した。そこで説明されたのが、「プロセス」、「プロダクト(サービス)」、「ビジネスモデル」という3タイプのイノベーションだ。

 第1の「プロセス・イノベーション」は、サプライチェーン・マネジメントなど、工程の変革を指す。これは従来からおこなわれてきており、今後も継続していくべき分野だという。第2の「プロダクト(サービス)・イノベーション」は、まったく新しい製品やサービスを創り出すことである。井上氏は成功事例としては、子ども用おもちゃのブロックで知られるレゴ社が、実在の建築物を模したシリーズを新たに大人向けに発売したことなどを紹介。旅行商品の改革も、この分野のイノベーションにあたるとした。

 第3の「ビジネスモデル・イノベーション」は、新しい利益モデルを生み出すことであり、近年注目が高まっているという。代表的な例が、銀行ATMをコンビニで利用できるようにし、決済時の手数料で収入を得るビジネスモデルを構築した「セブン銀行」だ。また、旅行業界の事例としては、リゾートの所有よりも運営受託を強化した「星野リゾート」のビジネスモデルが挙がった。