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現地レポート:スーパースターヴァーゴの香港発着クルーズで新しい休暇体験

  • 2014年7月24日

アジア周遊旅行とリゾート滞在を同時に楽しむ
新しい香港旅行としての提案も

常に新しい魅力が生まれる香港
クルーズ切り口に新客層の可能性も

新名所「PMQ」。警察の官舎となる前は、香港で初めて西洋の教育を行なう学校だった

 常に開発の手を休めず、観光の魅力を研ぎ澄ます香港は、クルーズの発着地としてのポテンシャルが高い。観光素材の幅も広く、リピート率が高いクルーズ客も訪れれば新しい発見があるだろう。

各スペースにはアーティストの世界が広がる

 現在の最新スポットといえば、ソーホー地区に6月にグランドオープンしたばかりの「PMQ」。Police Married Quartersを略した名称の通り、警察の官舎だった建物を改装し、“アートの発信地”となった。2000年まで約50年にわたって警察官の家族達が住んでいた居住スペースには、若手アーティストのアトリエやショップ、スタジオが入居。彼らがデザインしたアクセサリーや小物・雑貨、バッグ、洋服なども販売している。“アンティーク通り”のキャット・ストリートやハリウッド・ロードからも近く、レトロとモダンが入り混じった香港デザインを楽しめるユニークなエリアになりそうだ。

広東ロードを挟み、ハーバーシティ側から見た1881ヘリテージ

 香港特別行政区政府では歴史的な建物を保全利用した開発に力を入れており、例えばチムサアチョイのショッピングスポット「1881ヘリテージ」もその一つ。イギリス統治時代のコロニアル調の雰囲気が感じられる建物は、1880年代に作られた旧海上警察本部の一部で、現在は高級ブランドショップやレストラン、全室スイートのホテルも併設する。

インターナショナル・コマース・センターの「スカイ100香港展望台」。海抜393メートルの高さから、香港のさまざまな眺望が楽しめる

 ちなみに、高級ブティックが並ぶ広東ロードを挟んだ1881ヘリテージの向かい側には、カオルーン側で最大のショッピングモール「ハーバーシティ」がある。このハーバーシティのビクトリアハーバー側に、スーパースターヴァーゴが発着する「オーシャンターミナル」が直結しており、モール内からアクセスできる。チムサアチョイの好立地にあり、乗船前後の時間にもショッピングや食事などの観光が楽しめる。

ビクトリアピークの屋上展望台「スカイテラス428」は海抜428メートル。展望台へ行くまでもエスカレーターから眺望が楽しめる

 また、クルーズとMICEの相性の良さは知られているが、香港はMICEでもアジア有数の都市。MICEで喜ばれる素材や要素も多く、例えば世界で5番目に高いインターナショナル・コマース・センター(ICC)の100階にある「スカイ100香港展望台」は四方をガラス張りにし、ビクトリアハーバーを含む360度の絶景が望める。MICEのベニューとして貸切、部分貸切もでき、着席の食事で最大360名、カクテルで最大1600名の収容が可能。香港一高いビルから、夜景を見ながらのパーティも可能だ。

朝食をホテル外のレストランにするという方法もある。糖朝の日本人向けセットはエビワンタン麺またはピータンのお粥にマンゴープリンが付いて約1000円

 香港特別行政区政府は政策として、アジアのクルーズのハブとなるべく誘致に力を入れており、昨年には旧空港跡地にカイタッククルーズターミナルの第一期工事分がオープン。フルオープンすると世界最大22万トン級の客船の2隻同時停泊が可能になる。HKTBではこれを好機として渡航者数の拡大をめざしており、特に日本市場では主力の女性客に加え、シニアやファミリーなどの新しい客層の増加を期待している。香港とクルーズの組み合わせは、旅行会社にとっても注目の旅行素材となるだろう。




香港の親日度に注目
2013年は人口の10%強が来日

オーシャンターミナルとハーバーシティは直結。スターフェリーの乗船場も目と鼻の先でアクセスがいい

 2013年に香港から日本を訪れた旅行者数は、前年比54.8%(26万人)増の約74万人(日本政府観光局:JNTO推計値)。2013年の日本人の香港訪問者数の約106万人に迫る勢いだ(HKTB発表値)。人口約720万の10.2%が日本を訪れており、JNTOの重点市場のなかで人口に占めるのべ訪日旅行者の比率が最も高い地域となっている。

夜も魅力が多い香港。犯罪発生率(人口10万人当たり)が日本より低いことにも注目したい

 香港のコンビニエンスストアやスーパーマーケットには日本のお菓子など食品が多数並び、街中を走る車はトヨタなど日本車も多く見かける。この人口規模でありながら、日本からの輸出額では、水産物や精米では世界1位、加工食品では米国に次ぐ2位(農林水産省資料)で、日本に対する信頼の高さがうかがえる。受入側の人々の親日感の強さも、香港のデスティネーションの特徴といえるだろう。



取材協力:スタークルーズ、香港政府観光局(HKTB)
取材:山田紀子