OTOA、インバウンド委員会設立-安全確保で自主的チェックを

  • 2013年6月6日

 日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)は、今年4月1日の一般社団法人化をうけ、インバウンド事業の取り組みを開始する。6月5日に開催した第22回通常総会では、2013年度の事業計画内で、インバウンド委員会を設置すると発表。さらに、公益目的事業として「旅行・旅行者の安全確保と良質なサービスの提供」と「各国の観光関連事業・業務従事者に対する研修」を再重点施策として取り組んでいくとした。

 インバウンド委員会のメンバーについては現在未定だが、前OTOA副会長でTHE JTEAM代表取締役のゲライント・ホルト氏を中心に進めていく考え。OTOAによると、インバウンドを扱っている会社と、近い将来取扱いたいと検討している会社は、数年前実施した調査では会員の約40%。こうした会員を対象とした取り組みをおこなっていく考えだ。まずはOTOA会員の要望やニーズの把握をおこない、早期にインバウンドに関する情報を発信していきたいとした。

 また、昨年から取り組んできたインバウンド保険については、OTOAサービス保険参画損保会社と検討を進めており、改めて会員のヒアリングを実施するとしている。

 インバウンドについては、日本旅行業協会(JATA)が先日訪日ツアーオペレーターの品質認証制度の第1期認証会社を発表したばかりだ。OTOA専務理事の速水邦勝氏は制度について、制度の基準として旅行業登録とPマークの取得がある点が、オペレーターは旅行業登録が必要なく、登録はないが高品質なオペレーター沢山いると指摘。Pマークについても海外、国内旅行の旅行会社で持たない会社が多い中、インバウンドのみ規定することに対する意味付けが曖昧とし、「認証制度を受けていない、大変良いオペレーターが沢山いるが、その人達(の印象)がいかにも悪いようになるのでは」と懸念を示した。

 また、安全確保については、OTOA会長の大畑貴彦氏が総会の冒頭挨拶で「ほとんどの旅行会社がツアーオペレーターに手配を委託している現状を考えると、我々がいかに重い責任を負い、重要な役割を担っている」と重要性を強調した。

 OTOAでは会員の安全確保の実情についてアンケート調査を実施しており、「現在取引先(特に車両関係)の保険付保状況、整備状況、安全管理体制などについて把握していますか?」との問いに対し、約9割が何らかの方で把握していると回答。ただし、毎年1回以上定期的にチェックを実施している会社は3割程度に留まっていることから、大畑氏は会員各社に対し、自ら年1回定期的にチェックするよう呼びかけた。

 研修事業については、海外運輸協力協会(JTCA)がJICAから受託した、開発途上国の政府観光行政官に対しておこなっている「観光振興とマーケティング」セミナーへの協力を引き続き実施。JATA主催のニュー・デスティネーション・セミナーや、ASEANセンターでのセミナーなどにも協力していきたい考えだ。