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トップインタビュー: ANAセールス代表取締役社長の志岐隆史氏

ANAワンダーアースで旅行商品の新機軸
アライアンスエアラインも積極活用

-LCCに対する取り組みはいかがでしょうか

志岐 まだ商品化はしていない。LCCの基本的なビジネスモデルでは旅行会社を使わない。純国産のピーチ・アビエーション(MM)にしても買い取りを求めてくるので、商品化をするのはなかなか難しい。商品化するにしても、スカイホリデーやハローツアーでは売りようがないため、別のブランドを作らなければならないだろう。

 しかし、ビジネスチャンスであるのは確かだ。こちらからドアを閉める必要はないと思う。ただし、LCCを売るとすればANAとのカニバリゼーションも出てくるため、グループとしての了解も必要になってくる。検討は続けるが、それほど早く結論が出る話ではないだろう。


-価値の創造をめざしていくなかでのブランド戦略についてお聞かせください

志岐 現在のブランドは海外がハローツアー、国内がスカイホリデー、そして新しくワンターアースを立ち上げた。ダイナミックパッケージの旅作も大きなボリュームになってきた。数字でいうと、2012年度では国内が360億円、海外が25億円で合計400億円弱。年率130%ほどで伸びている。2013年度の目標としては、国内460億円、海外40億円、合わせて500億円を掲げている。

 ワンダーアースの造成ではいろいろと勉強になる。たとえば、フライ&クルーズの商品に対して、はじめからクルーズを楽しみたいという声が寄せられた。一方、ガラパゴスを14人乗りの専用船を使って、隅々まで巡るというプランは非常に人気が高い。

 こうしてワンダーアースで学んだことをハローツアーなどでも活かしていきたい。ワンダーアースは6月に第3弾を発売し、第4弾では国内旅行も入れていく計画だ。国内旅行は開発が進んでいるので新しい素材の商品化は難しいが、無いところから有るところにお客様を運ぶ素材をうまく見つけられれば、うまくいくのではないかと思っている。

 商品に特色を持たせることが、価格競争に入り込まない最大の秘訣。価格勝負ではない商品と大きく売る商品とのアクセントのつけ方をもっと勉強していく必要がある。新商品を出してもいずれコモディティー化していくなかで、常に新しいことに冒険する姿勢が大切だろう。


-そうした冒険する姿勢を養うための人材育成については、いかがでしょうか

志岐 ある意味「変わり者」が必要だと思っている。資産を持たない旅行会社は人に投資して、変わった人間を育成していくことも大事だろう。販売事業部の社員はほとんど知っているので、今後、全国の旅行商品事業部の社員全員に会って、トップが考えていることを伝えていこうと考えている。そこで、「変わっていることは強みになること」を話し合えればと思っている。

 実務的な人材教育としては、任意で旅行業務取扱管理者、DSなどの研修プログラムを設けている。今後は役割別の研修なども取り入れていきたい。現在も1割ほどが他部署を経験しているが、ほかのグループ会社での研修も増やしていきたい。