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トップインタビュー:JATA会長 菊間潤吾氏(後)

安易なものづくりからの脱却へ
知識や商品力の向上に取り組む

-旅行会社スタッフの知識向上についてはどのように取り組まれる方針でしょうか

JATA会員会社スタッフ約1000名が東北各地を視察する復興支援プロジェクトも実施

菊間 業界全体の知識の共有化をしたい。JATAのウェブサイトなどJATA会員のみが閲覧可能な場所で、知識の共有化をしたい。

 例えば色々な国が企画者用のツアープランナーズマニュアルを作っているが、世界中に向けて発信しているものなので、日本市場に対して有効かどうかというと難しいものがある。そういうものを、もっと日本向きに深掘りして共有化したり、FAMツアーで行った内容を掲載したりしても良い。そのような仕組みをJATAの限られた予算内でできるよう研究しているところだ。

 また、大手は別として、中小の会社で教育システムがどこまでちゃんとできているかというと、経験主義的な話でしかない部分が多い。それに対して、例えばJATAがデスティネーション・スペシャリストのeラーニングのプログラムを使ってやっていくようなことも考えられる。

 マネジメント向けの教育なども、研修会などにすると出られた人にしか効果がないためそうでない形をつくって、それ以上の教育は各社マターにするとか、色々と動き出したいと考えている。


-オンライン販売の伸張についてお考えをお聞かせください

菊間 リアルとオンラインとの戦いではなく、プロと素人の戦いというイメージだ。旅行産業というのは限りなくプロと素人の差が少ない。素人がインターネットで様々な知識を得られるようになった今、プロはどうするべきか。プロと素人をどうやって明確に差別化し、プロとしてもっとしっかり認知してもらうかが課題だ。

 JATA会員の入脱会をみれば、最近は倒産で会員でなくなる会社が少なく、ほとんど自主廃業だ。こういう時代の中で、旅行会社の役割は終わったと考えているのではないか。JATAとしては時代の流れをしっかりと認識し、難しいことではあるがチームヨーロッパやスタッフのスキルアップなどの取り組みを様々な角度で進めていく。