地域資源の活用法 国観連・近畿青年G、研究会で学ぶ

 国際観光旅館連盟近畿支部青年グループ(奥川祐次リーダー=和歌山県勝浦温泉・勝浦観光ホテル)はこのほど、京都市東山区のぎおん畑中で今年度最後の研究会を開いた。テーマは「地域資源の活用による補助金制度について」。先行事例から同制度の活用法を学んだ。

 制度は、中小企業基盤整備機構の「地域資源活用支援」制度で、地域の資源・素材を生かした新しい事業を支援するもの。地域活性化に関わりが大きい観光業も対象になる。

 この日、講師として事例を発表したのは、同制度をすでに活用している、ぎおん畑中社長の畑中誠司さんと、暖灯館きくのや(滋賀県おごと温泉)専務の池見善博さん。

 ぎおん畑中では、夕食プラン「京料理と舞妓の夕べ」が認定されている。京都の花街文化を夕食とともに手軽に味わってもらうもので、宴会のニーズの掘り起こしと訪日客の誘客を目的に2009年1月から始めた。京都市観光協会のキャンペーン「京の冬の旅」のイベントの1つにもなり、昨年は41回の実施で約900人を集客。訪日客も約3割と徐々に浸透してきた。

 新規性、舞妓という地域資源の活用ももちろん、「観光協会と協力している事業であること、改良の余地があり、あくまで試作段階ということ」(畑中さん)が決め手となり、同制度に認定されたという。

 一方、滋賀県おごと温泉は新しい着地型企画事業「おごとヘルスツーリズム」という形で制度を活用している。「美容・美食」をテーマに温泉とウオーキング、地産地消の食事を組み合わせたもので、若手旅館経営者らを中心にプロジェクトチームを組み、地元の大学などと連携しておごと温泉の新しい魅力の創出に取り組んでいる。

 池見さんは、企画・制度活用にあたって「大事なのは『新規性』。温泉を使って何ができるか、お客からアンケートを取るなどして自分たちの地域の魅力、ニーズを見つめなおした」と話す。

 観光業への同制度の活用について、畑中さんと池見さんは「新しい着地型旅行創出のための制度と考えたらいい」と声を揃える。

 制度の認定は、「とにかく新規性と地域性が問われる。制度担当者の観光業への理解度はまだまだ低く、苦労した」(池見さん)。しかし、モニターツアーの経費に補助が出るなど使い方次第で十分活用できる制度だという。

 その上で畑中さんは「地域の資源を生かし、組み合わせて何ができるか、どういう新規性を創出できるかをよく考えること」、池見さんは「担当者にいかに理解してもらうかがカギで、『本当にやる気があるか』が問われている。5年まで活用できるが、3年で結果を出したい」と語り、利用のポイントを指摘した。


情報提供:トラベルニュース社