ESTA導入による混乱はほぼなし−継続的な告知と体制整備の効果で

  • 2009年1月14日
 1月12日からアメリカへの入国時に、電子渡航認証システム「ESTA」での事前オンライン申請が義務化された。当初は、システムが未対応の航空会社もあり、国土交通大臣の金子一義氏が記者会見で懸念を表明するなど混乱も予想されたが、義務化から約2日間が経過した1月13日19時現在、航空会社や大手旅行会社では特に大きな混乱やトラブルは発生していないようだ。

 日本航空(JL)、全日空(NH)、ノースウエスト航空(NW)では、「特に問題はなかった。ごく数名が未申請だったが、その場でスムーズに申請できていた」としており、ユナイテッド航空(UA)では、「関西空港では100%事前申請済みで、成田空港では2件だけその場で申請した」と説明。また、JLやNHでは、予約者への確認の電話や、インターネット予約の際にポップアップで通知するなど、告知を進めてきていたという。

 大手旅行会社でも、顧客が搭乗できないなどの事案は把握していない。各社が4000円から6000円程度の手数料を徴収して実施するESTAの申請代行サービスでも問題は発生していないという。阪急交通社では、「(申請代行の)利用者は正確には把握できていないものの全体の20%程度のようだ。大きな混乱はない」とし、ジェイティービーでも同様に「11月から通知しており、問題はない」と回答。近畿日本ツーリスト(KNT)は「昨年12月から各販売店で伝えており、社内スタッフがアメリカ大使館主催の勉強会に参加するなどの対応をしている」という。また、日本旅行も、「ビジネス渡航やインターネット環境が整っていない人から各支店に問い合わせがあったものの、混乱はなかった」としており、大使館や旅行会社、航空会社などによる継続的な告知の結果、渡航者への周知が進んでいることがうかがえた。

 なお、北米路線を運航する複数の航空会社が認めたところでは、当面の間は従来の出入国カード「I−94W」が併用される予定。そのため、ESTAの申請と承認が済んでいる旅客も、機内で出入国カードを記入することになる。また、チェックインの際に承認の有無を確認するシステムの導入は、全日空(NH)はすでに終えたものの、日本航空(JL)は1月下旬をめどを予定。ノースウエスト航空(NW)は3月末の予定で、ユナイテッド航空(UA)も時期は未定ながら導入に向けて準備を進めている。


▽関連記事
米国大使、ESTAの義務化をアピール−「旅行の障害になってはならない」(2009/01/09)