ドイツ【サステナブル・ワインツーリズム】視察①溪谷一面のブドウ畑の地で滞在を楽しむゆとり旅のあり方

  • 2023年8月8日

 ドイツ・ワインインスティトゥートが9カ国からジャーナリストを招き、ドイツにおけるサステナブルなブドウ栽培とツーリズムをアピールするためにモーゼル地方とラインヘッセン地方の視察旅行を実施。自然と生物多様性を重んじるブドウ造りだけでなく、サイクリングやカヌーなどを楽しみながらワイナリーに宿泊して美味しいワインを楽しむというゆとりある旅のあり方なども紹介する。

ザール川沿いKanzem (カンツェム)のナチュラルワインの造り手Dr.Freyのブドウ畑には野草が咲き、蝶々が飛ぶ。

 車で、フランクフルト国際空港(FRA)からは約2時間、LCCが発着するフランクフルト・ハーン空港(HHN)からは約45分でザール川沿いのLonguich(ロンゲッヒ)にあるワイナリー「Longen-Schlöder(ロンゲン・シュローダー)」に到着する。ここで何世代にもわたってワインを生産するロンゲン家の当主マーカス・ロンゲン氏が迎えてくれた。

レストランと朝食棟の間から溪谷の斜面一面のブドウ畑のすばらしい眺めが見える

 ここはドイツ南西部の観光地、ローマ時代の遺跡が今も残るトリーアまでは車で約20分、ルクセンブルグまで約1時間でバス停も近く、観光の足回りもいい。溪谷を流れるザール川までは150mほどで、まさに風光明媚。イタリアの有名なデザイナーであるマティオ・トゥン氏にデザインを依頼した20室のホテルも2013年から経営している。

20室は独立しており扉を閉めると昔のワイナリーのコテージのよう。以前は斜面にあった大きな小屋の資材を利用しているそう。
部屋はダブルベッドを中心にしたコンパクトな造りだが、天井高もありナチュラルモダンなデザインが洒落ている。

 ドイツワインの代表的ブドウ品種であるリースリングの白を中心に、シュナン・ブランを使ったスパークリングワイン(Sektゼクト)やピノ・ノワールの赤、またロゼなどさまざまな品種からなるセミドライとドライのワインを主に造っている。

スパークリングワインの瓶内二次発酵のために毎日ここでボトルを回転させてると語るマーカス氏。
テラスでアペリティフに出たリースリングのゼクトはドライで爽やか、夏にぴったり。
夕刻、モーゼルワイン生産者協会副会長のスティファニー・フォンベック氏に、生物多様性を保つワイン栽培の努力について聞く。

 サイクリングやキャンピングカーでの旅の拠点として、オーナーが案内するワインをテイスティングしながら楽しんでゆっくり過ごす。そんな心地良い滞在型のゆとり旅がとてもいいなと思える。夏の客室料金は朝食付きで165ユーロ。ビジネスでフランクフルトに来た日本人の宿泊も結構あるそうだ。