業界ニュースを振り返る ー 人材不足・生産性の低さ・コンプライアンス問題

  • 2023年7月9日

 今週のランキングは、最近の観光産業で話題になりうやすい問題「人材不足・生産性(利益率)の低さ・コンプライアンス」という3つが人気の高い結果でした。

 まずはじゃらんフォーム2023の記事では、人材不足と地域消費額増について触れられています。

 記事内で取り上げられている「Air WORK」によるDX化のところは、これはただのIT化じゃないのか?という疑問はありますが、経済産業省や中小企業庁が運営しているミラサポplusによるとDXとIT化に明確な線引きはないらしいので、その点は今回おいておくとして、地方や中小企業が一部の業務をIT化、自動化することで生産性が向上したり、人材不足解消の一助になるというのは想像に難くないですし、実際に実例として出されているわけですから説得力があります。

 そして、IT化すればデータが溜まり、データがあれば分析ができ、分析ができれば予測・改善ができるというのは業界を問わず恒常的に行われている改善施策のベースですから、箱根DMOの例等も非常にわかりやすく他の地域にも十分に活かせるやり方なのだろうと想像できます。こういった角度で地域観光産業が変わっていくのは個人的にもワクワクしますね。

 こういった明るい話題ばかり書いていれば私も楽しいのですが、コンプライアンスに関する問題も触れないわけにはいきません。今回コンプライアンス遵守と業界の信頼回復をとJATAが呼びかけているわけですが、学校で「最近皆さん成績が落ちてきてますよ。気をつけてくださいね」と教師が言うだけで生徒の成績が上がるなら世の中こんなに楽なことは無いですが、大手旅行会社にて明らかに作為的に不正受給を行い、実際に逮捕者まで出ている中で、本当に危機感を持っている団体の発言とは到底思えません。

 観光庁の指示のもと行ったという総点検も「現在のところ、さらなる不正事案の報告はない」と述べられたとのことですが、私が知る限り自社で答えるアンケートフォームが届いているだけです。私ではアンケートフォームの内容を見ることは出来ませんが、まさか自己申告制なんてことはないですよね?一昨年に、当時JATA会長だった菊間氏が経営するワールド航空サービスにて雇用調整助成金不正受給が発覚したことを考えても、JATAという組織自体にそもそも信頼度があるなんて考えはあまりに甘い考えです。本当に信頼度が重要だと言うのであれば、然るべき方法を改めて取るべきでしょう。