国境再開のマレーシア、変わらぬ活気のクアラルンプール、コンパクトに楽しめるペナン

デジタル、イノベーション、安全安心を柱に、日本市場はサステナブルツーリズム
MHはJLとの共同事業で羽田/クアラルンプール線に新規就航

 マレーシアは、2022年4月1日に約2年間にわたって制限していた外国人旅行者の受け入れを全面解禁。現在はワクチン接種の有無に関係なく出発前の検査と入国後の隔離がなく、コロナ前と同様に旅行を楽しむことができる。このタイミングで、マレーシア航空(MH)が8月14日から羽田/クアラルンプール線に新規就航。日本航空(JL)との共同事業で、今後の両国間の交流再開を見据えた環境を整えている。その羽田発の初便を利用したファムツアーに参加。日常を取り戻したクアラルンプールとペナン島を視察した。

新スポットの「サロマリンク・ブリッジ」は、8月31日の独立記念日に合わせて国旗色にも彩られた

街には外国人観光客の姿も復活

 羽田深夜発のMH37便は、早朝クアラルンプール国際空港(KLIA)に到着。入国手続きは想像以上にスムーズだった。マレーシアの健康管理アプリ「MySejahtera(マイセジャテラ)」にワクチン接種証明を登録し、承認を取得していたが、それを提示する必要もなく、コロナ前と同様の手続きでターミナルを後にした。

 クアラルンプールの街も、マスクを着用している人は多いものの、数年前に訪れたときと変わらない雰囲気だ。目抜き通りのブキッ・ビンタンは平均年齢約30歳の若い国らしい活気に満ち、屋台がひしめくアロー通りも多くの人が集まり、どのテーブルでも笑顔が溢れていた。

屋台で観光客にも人気のアロー通りは人で溢れていた

 ジャラン・ジャラン(街歩き)を楽しむ外国人観光客も見かけ、入国制限解除の効果も見受けられる。宿泊した「パークロイヤル・コレクション・クアラルンプール」も、欧米豪からの宿泊者は回復傾向にあるという。セールマネージャーの帆足恵利香氏は「あとは日本人旅行者」と日本市場復活に大きな期待をかける。

 ブキッ・ビンタンにも近いこのホテルはパンデミックの2年間で全面リニューアル。「パークロイヤル・コレクション」ブランドとして今年6月にオープンしたばかり。長期滞在者向けの高級サービスアパートメント「パンパシフィック・サービススイート・クアラルンプール」も近々オープンする予定だ。

「パークロイヤル・コレクション・クアラルンプール」は繁華街の中心にあるが、リゾート感覚の滞在が楽しめる

クアラルンプールには新しい観光スポットも誕生

 クアラルンプールの定番観光地も巡ってみた。早朝のヒンドゥー教の聖地「バツーケイブ」。黄金に輝く巨大なムルガン神像が変わらぬ姿で鎮座し、その足元からカラフルな272段の階段が寺院のある洞窟に向かって伸びる。階段の途中で振り向くとクアラルンプールの街を一望。バツーケイブは写真映えするフォトスポットして今でも人気だ。

 コロナ禍で観光客が激減したため、バツーケイブでお馴染みの野生の猿が凶暴化しているという話を聞いていたが、早朝だったためか、出没する数は少なく、階段の上り下りで邪魔されることはなかった。ただ、やはり食べ物を持ち歩くのはやめた方がいい。狡猾な手段で奪いにくるという。

奇祭「タイプーサム」は、バツーケイブから出発する

 ツインタワーを中心とするKLCCの賑わいも相変わらずだ。ここのショッピングモールに入場する際には、MySejahteraの提示を求められたが、この措置もずっと続くことはないだろう。新しくオープンした「ららぽーと」など、訪れた他の商業施設では何の制限もなく入場できた。

 KLCCには新しいスポットも誕生していた。「サロマリンク・ブリッジ」。KLCCエリアとカンポンバルを繋ぐ歩道橋で、2020年2月に開通した。夜になると、芋虫を想像させる斬新なデザインのトンネルは、さまざまなカラーに変化し、メタリックに輝くツインタワーを背後に、近未来的な都市空間を演出。クアラルンプールの新たなフォトスポットとして連日多くの人が訪れている。

 クアラルンプールでは、都市観光以外のアトラクションも楽しんだ。訪れたのは郊外の「マレーシア森林研究所(FRIM)」。そもそもは東南アジアの熱帯雨林の研究施設だが、その豊かな自然を体験するネイチャートレッキングや整備された公園の散策を楽しみに訪れる人は多い。

 また、熱帯雨林の中を空中散歩する「FRIMフォレスト・スカイウォーク」も新たな名所となっている。11の鉄塔に8つの鉄橋をつなげた250メートルのコースで、高さは18〜50メートル。コースの途中では、森林の向こうにクアラルンプールの街並みを見渡すことができる。工事現場の足場を思わせる作りで、鉄橋を一度に渡る人数も制限されている。なかなかのスリルだが、静けさの中でマレーシアの熱帯雨林に抱かれている感覚を味わえるも確かだ。

なかなかのスリルの「FRIMフォレスト・スカイウォーク」

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