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JATAが緊急の「欧州復活フォーラム」、独自性追求へ

▽苦戦する仕入れで他社と協業、「相乗りツアーも」

LXの岡部氏  緊急フォーラムでは、日本人海外旅行者の減少とともに、座席や客室の仕入れも厳しくなっている現状について、パネリストが議論。スイス・インターナショナル・エアラインズ(LX)日本・韓国支社長の岡部昇氏は、日本路線を利用する訪日客の増加や、機材の小型化により、日本人向けの座席の供給を減らしている旨を説明。また、近年は「利用者の、グループからFITへのシフトが非常に顕著」であることから、各航空会社がグループ向けの座席ブロックを減らし、自社サイトやOTA経由でFIT用の座席を増やしている傾向があることを説明した。

 座席クラス別では、シニア層の需要が高いビジネスクラスは好調に推移。その一方、エコノミークラスの販売に苦戦しているという。岡部氏は「ビジネスとエコノミーのバランスが取れた販売ができれば、機材の大型化を考えることができる」と話し、旅行会社にエコノミークラスの販売強化を要望。あわせて、閑散期の安価な運賃を活用した、学生など若者層の需要開拓を呼びかけた。

Team EUROPE委員長の古木氏  古木氏はツアー造成時の課題として、航空運賃が需要により変動することから、航空会社側からツアー造成前に伝えられた運賃と、顧客が実際にツアーを申し込んだ時に航空券を手配するときの料金が異なり、収益に影響を与えていると説明。櫻井氏も、客室の仕入れが同様の傾向にあることを指摘し、「旅行会社には料金の変動を見越して見積もりを提示しているが、料金が上がって失敗した例もある」と語った。

 櫻井は現在の欧州のホテルについて「日本市場を必要としていないところもある」と述べ、今後より良い関係性を築いていくために「旅行会社は、予約しても使わない客室を早期にリリースしてほしい」と訴えた。あわせて、催行ツアー数を周到に予測し、実際の手配数となるべく誤差が出ないように客室を仕入れるよう呼びかけた。

 これに対して鈴木氏は「いかに良い商品を作るかという以前に、どう商品を仕入れ、売り切るかが課題」とコメント。JTBグループにおける海外の仕入れの一元化の推進に意欲を示した。今後はルックJTBとJTB旅物語の参加者が、現地の観光バスに混乗するなど、共通の旅行素材を活用した試みも検討しているという。

 鈴木氏はさらに「他社との相乗りでツアーを催行するのも1つの方法」と説明。「業界内では競合相手であるべきだが、ある部分では旅行会社同士で)一緒に取り組む部分もあってもいいのでは」と語った。櫻井氏も共同仕入れについて賛同の意を表明し、「今後はオペレーターが主体となり、共同仕入と共同催行を可能にしていきたい」と意見を述べた。