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海外旅行、先行き不透明も各社攻めの目標-ホールセール特集(1)

  • 2015年2月26日

燃油サーチャージ下落の反映はこれから
訪日需要拡大で海外商品に影響も

ジャルパック代表取締役社長の二宮秀生氏 価格動向については、前年比で微増になるところが多いようだ。たとえば、JTBWVは同3%増、ジャルパックも2%から3%増で推移。円安による仕入原価の高騰や、訪日を含む海外発旅行需要の増加などで仕入れ環境が厳しくなる中、企業努力で高騰を抑えた。

 前年と大きく異なるのは、原油安に伴い燃油サーチャージが下がっている点。各社ともプラス要因と捉えているが、円安や他国との競合による仕入れ価格の上昇などとの相殺で商品価格への反映はまだ大きくない。ジャルパックの二宮氏は「下がると期中商品(の旅行代金)は下がることもある」の見解を示した。

(左から)日本旅行執行役員海外旅行事業部長の西川氏、営業企画本部海外旅行事業部担当部長の永尾氏  日本旅行では、アジアは内容を充実させた分、燃油サーチャージの下落分を加味しても平均商品単価は上昇傾向にあるが、ヨーロッパなどの長距離方面は下落の恩恵を受ける傾向。同社営業企画本部海外旅行事業部担当部長の永尾邦洋氏は「お客さまにとってメリットのある価格設定になるのではないか」と話した。

 また、訪日外国人市場の急拡大にともなって、航空座席の仕入れも課題として浮かび上がってきた。日本旅行執行役員海外旅行事業部長の西川隆祥氏は「(訪日需要の高い)台湾やタイの路線では、その影響が顕著に出ている」と明かした。そのような環境の変化のなかで、JTBWV社長の井上氏は、定期便の買い取りにより早期確保をはかっていく方針を示し、「自社にとってリスクが高まるが、一定のリスクを取らないとお客様に潤沢に商品をご提供できない」と覚悟を語った。さらに、ピーク時を中心にチャーター便の活用も積極的に展開していく考えだ。

 ジャルパック社長の二宮氏も「少し先まで見ながら、早めに仕掛けていく」と話すとともに、空席が出るものについては、ウェブなどで対応していく考えを示した。また、日本旅行の西川氏も「早期にお客さまを取り込んでいく商品展開が必要」との見解を示した。

 訪日市場は2000万人、3000万人向けて今後さらに拡大が予想されており、そうした中、海外旅行では座席確保、さらに国内旅行でも宿泊施設やバスなどの確保で競合するだけに、新たな工夫や取り組みが求められてくるといえるだろう。