トップインタビュー:ジャルパック代表取締役社長の二宮秀生氏

新生JALパックブランドに統一効果
付加価値の高い「いい旅、新しい旅」を追求

2011年度に国内と海外の商品ブランドを“JALパック”に統一し、新たなスタートを切ったジャルパック。約1年半が経ち、さまざまな面で統一効果が現れ始めた。今年6月にジャルパック代表取締役社長に就任した二宮秀生氏は、「いい旅、新しい旅の創造に取り組んでいきたい」と意気込む。日本航空(JL)が今年9月に再上場を果たしたなか、JLグループの旅行会社としてどのような舵取りをしていくのか。今後の戦略について話を聞いた。


-JLグループの成長戦略のなかで、ジャルパックの位置づけと、それに基づく今後の方針と目標をお聞かせください

二宮秀生氏(以下、敬称略)  ジャルパックはJLグループ中核の旅行会社としてJL便を利用した旅行商品を提供していく。ジャルパックは「安心と品質のいい旅と新しい旅を提供し、平和で豊かな社会造りに貢献します」という企業理念を掲げている。その理念のもと、JLグループの一員として“鶴丸”ブランドを磨いていかなければならないと考えている。

 JLは主に二つの思いで鶴丸を再び掲げた。ひとつは、おもてなしに代表されるに伝統的な日本の心を今一度大切にすること。そして、もうひとつはチャレンジ精神。JLは何もないところから日本の空を切り開き、ジャルバックは1964年にはじめて海外パッケージを始めた。

 鶴丸は、その精神をもう一度大切にしていこうという考えの表れだ。この方向で全社員がベクトルを合わせて、「いい旅、新しい旅」の創造に取り組んでいる。そのなかで、お客様に喜んでいただき、利益を出していくという構造をめざしていくことがなにより大切だろう。


-代表取締役社長に就任されてから3ヶ月ほどが経ちます。これまでの所感と、社長としてこれから取り組みたいところをお聞かせください

二宮 今年度の業績については現在までのところ、円高などもあり、計画を超える数字で推移している。2011年度から海外と国内の商品ブランドを統一してJALパックにしたが、いろいろなところでいい化学反応が出てきている。たとえば沖縄。海外のいいところを取り入れ、下期から周遊型商品の販売も始めた。古宇利島のJALライナー、観光タクシーによる周遊、新しいテーマとして愛犬と行く旅や子供と一緒に旅をする商品(いっしょにベビちゃん)などのプランも始めた。

 エア&ホテルが主流になりつつある国内では、航空券販売の比重が大きく、観光性の高い商品を作っていくモチベーションは低かった。しかし、それも海外と国内を統一することで改善されてきている。もう一度観光性の高い商品に注力していきたい。

 就任前から旅にはすごい力があると常々思っていたが、今は薄っぺらい旅が多くなってきたとも感じている。旅行に行かない理由として、時間がない、お金がないとともに、実は“きっかけがない”というものがとても多い。そのきっかけ造りをしっかりやっていきたいと思う。なおかつ、上質な「いい旅、新しい旅」を提供し、それに満足していただいたお客様にまた戻ってきていただける循環を造れれば、と思っている。