旅行会社の夏の海外旅行、家族層中心に好調−9月は間際予約取り込みへ

  • 2010年9月13日
 大手旅行会社各社の夏期(7月〜8月)の海外旅行商品の取扱人数は、前年に比べて好調に推移した。経済不況に回復の兆しが見え、円高傾向や昨年の新型インフルエンザによる旅行控えの反動もあり、ファミリー層を中心に需要が回復傾向にあるようだ。一方9月は、昨年と比べるとシルバーウィーク(SW)の日並びが悪いこともあり予約が伸び悩む会社が多く、各社とも間際予約の取り込みをはかる。

 ジェーティービー(JTB)の海外旅行取扱人数は、首都圏発着分で7月が前年比20%増、8月が18%増と増加。ファミリー向け商品「わいわいファミリー」で今年から12歳から17歳の旅行代金を割り引いたところ好評で、ファミリー層を着実に取り込めたという。方面別ではグアムやハワイが人気で、円高により長距離方面で10%以上の伸びを見せた。9月の予約状況は12%減で、昨年はSWの影響で間際予約が多かったが、今年は例年並みだという。今年から9月、10月出発の特別商品を販売し、さらなる需要の取り込みをはかる。

 近畿日本ツーリスト(KNT)の海外旅行取扱人数は3%増の約7万6000人。ファミリー対象の商品が好調で、方面別ではミクロネシアに加え、ヨーロッパ、アメリカなど長距離方面で前年を上回った。9月は18%減の約3万7000人。SWの日並びの影響が大きく、ミクロネシアと中国以外では前年割れの結果となった。9月の苦戦が予想されたことから、7月から8月にチャーターでの増売を実施。また、廉価商品での需要の取り込みをねらったが、人数は現在のところ前年割れだという。

 日本旅行の海外旅行取扱人数は7月が23%増、8月が4%増で、景気の回復や円高効果で増加。とくにファミリー層が好調で、「ふぁみバケ」が50%増の伸びをみせた。方面別では欧州やオセアニア、北米などロング方面が好調だ。同社によると、安価な商品よりも、高品質のホテルを利用しオプショナルツアーが無料の、内容に対しリーズナブルでお得感のあるツアーが評価されたという。9月はSWの反動もあり19%減で推移しているが、中国、香港は堅調。インターネット専用商品やタイムセールなどでさらなる取り込みをねらう。

 名鉄観光の7月から9月の海外旅行取扱人数は7%増の8500人となった。なかでも韓国は41%増と好調で、アシアナ航空(OZ)を利用したソウルの商品が女性を中心に人気だという。そのほか、上海万博開催中の上海や、香港、タイも順調。9月は10%減で推移しており、休暇分散でレイトサマー志向が強まるなか、手軽に旅行がしやすい近距離のアジアを中心に間際予約を取り込んでいく考えだ。

 一方、阪急交通社の7月17日から8月31日の夏期海外旅行取扱人数は10%から15%減となり、昨年の夏が好調だった反動で、やや落ち込んだ。特に昨年好調だった中国や韓国で苦戦したという。9月は円高のメリットを打ち出し広告を展開しているが、昨年ほど日並びがよくないため、成果はあまり感じないという。最近は間際予約も増えてきていることから、できるだけ間際の予約に対応できるよう、取り組みを進めていく考えだ。

 なお、楽天トラベルの7月、8月の取扱人数は35%増となった。中国、韓国、台湾、ハワイ、グアムが特に好調で、なかでも中国、台湾、ハワイは昨年後半に設立した現地の仕入れ拠点が増加に大きく寄与したという。とくにダイナミックパッケージの伸びが著しく、前年の2倍の伸びを見せた。9月の予約も好調で、SWの反動等はとくにみられないという。