JATA、チャーターコーディネーターが始動−リスク軽減助け成功例増やす

  • 2010年6月10日
 日本旅行業協会(JATA)は6月7日付けで、チャーターコーディネーターに元日本航空(JL)パリ支店長の引田潤造氏を起用した。6月9日のJATA定例会見で引田氏は、「成功例をつみあげていくことによって興味を持ってもらいたい」と挨拶。また、JATA海外旅行業務部部長の田端俊文氏は、地方発着路線の減便や運休、機材の小型化などが続き座席確保が難しくなるなか、打開策としてチャーター便への注目が高まりつつあることから「まずは旅行会社がチャーターに興味を持って取り組んでもらえるように働きかけたい」と話し、引田氏とともに海外旅行業務部でチャーター利用を活性化する方針を示した。

 引田氏は、(1)チャーターに関する相談役として迅速で良質な情報の提供、(2)旅行会社や航空会社、空港、観光局などをつなぐパイプ役としてスムーズな情報伝達方法の確立、(3)買取リスクを始めとする阻害要因排除のための施策や取組みの実施の3点が課題であるとし、段階的に進めていく考えを説明。まずは情報収集のため、JATAのウェブサイト内にチャーターコーディネーターが情報を収集、提供できるコンテンツを立ち上げる予定だ。さらに、チャーターが盛んな九州や中四国、東北、北海道など、ニーズのある地方に対し、JATAの各支部を通じて自治体などを訪問し、現状の問題点や障壁について調査する。

 このほか、チャーター促進での課題となるリスク軽減について田端氏が言及。現在、旅行会社が包括旅行のために仕入れた座席を個札販売することはできないが、航空会社が個札販売する航空券を旅行会社が取り扱うことは可能だ。田端氏は「航空会社の個札販売をうまく利用していければ」と話し、まずは現行の法制度の中で改善点を模索していく考えを示した。

 また、過去に広島で旅行会社数社がコンソーシアムを立ち上げた事例を紹介。互いにリスクについて契約し成功したという。その後コンソーシアムは解散したが、実力や自信のついた旅行会社が独自でチャーターの取扱いを始めたケースもあったことから、今後、解散した理由や残った課題などを調査する考えだ。また田端氏は、「できるできないは別として、リスク保証保険の実施や、JATAの供託金制度を利用した取組みなどリスク軽減の可能性を探りたい」と意欲を示した。


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