旅行大手各社、夏の海外旅行予約が好調−中国回復、早期割引施策も奏功

  • 2010年6月1日
 夏休みの海外パッケージツアーの予約状況が好調だ。5月31日時点で、ジェイティービー(JTB)、近畿日本ツーリスト(KNT)、阪急交通社、日本旅行の大手4社は7月、8月ともに全方面合計が前年を上回っており、いずれも2桁増で推移している。上海万博で注目が高まる中国が伸びていることや、各社が実施する早期申込み者への割引や特典の施策も奏功し、早い段階での予約の取り込みにつながっている様子。2009年は新型インフルエンザの影響で夏の旅行の予約が5月、6月に入らず、間際化した傾向があったものの、需要の回復傾向を示しているといえそうだ。

 JTBは7月が前年比24%増、8月が22%増で推移。「わいわいファミリー」で新たに12歳以上18歳未満の旅行代金を大人代金の半額にする施策を東京発全コースで設定するなどジュニア割引を拡大したことで、ファミリー層の早期予約獲得につながったという。

 KNTは7月が37%増、8月が46%増となり、全体的に海外旅行需要が回復傾向にあるととらえている。2009年は9月のシルバーウィーク(SW)に需要が集中し、7月、8月の予約は間際申込みが多かったが、2010年は5月末までの申込みでツタヤのTポイントを通常の3倍付与するなどのキャンペーンもあり早期取り込みに成功した。

 阪急交通社も7月が47%増、8月が42%増と好調。JTBと同様にファミリー層の予約が好調で、方面別では特に中国、近場のアジアや台湾、ハワイなどが伸びているという。

 日本旅行は、7月が51%増、8月が15%増で推移している。韓国が高い水準を維持していることやユニバーサルスタジオが完成したシンガポールなど、安近短のアジア方面の需要は根強いという。また、母の日までの予約を対象に割り引く「ママ割」の適用率が昨年の2倍となり、ファミリー需要の取り込みや早期申込みにつながった。

 このほか、エイチ・アイ・エス(HIS)は正確な数値は未確定なものの、全体的に好調で特に8月の予約が伸びている。今年は「スーパーサマーセール」を昨年よりも前倒して展開しており、早期取り込みが順調という。


▽JTB、KNT、日旅 予約動向比較表


※全て人員ベース