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MICEインタビュー:西鉄旅行 ビジネストラベル営業部 出雲谷昌子氏

  • 2010年1月19日
MICE成功のキーワード(11)
「“人”を大切にし、信頼関係を構築」



 製薬会社のインハウスエージェントで19年間の経験をもち、それ以前にも旅行会社でさまざまな実務経験をもつ出雲谷昌子氏。その豊富な経験をいかして、現在は西鉄旅行のビジネストラベル営業部銀座支店でセールスプロモーションのマネージャーとして活躍中だが、知識だけに頼らない営業活動を心がけている。顧客の新規開拓はもちろん、リピーターを増やすその戦略を聞く。
  
  
  
  
  
Q.今のお仕事内容を教えてください

出雲谷氏 総合的に法人のお客様の需要に応える形でさまざまな手配をしています。MICEだけではなく旅行会社としてできること、例えば海外出張なども含めて全部をチームとして取り扱っています。MICEとしては国内でのミーティング開催が主な業務で、海外から出席者を募るグローバルミーティングを提案し、手がけています。

 同じ業態の企業のエグゼクティブミーティングや海外支店の方々を呼び寄せてのミーティング、あるいは海外に顧客を持つ企業の国内におけるミーティングなどですね。インバウンド事業というより、国内で開催されるミーティングにともなって発生する業務も手配できるという感じです。


Q.提案は御社からされるのですか

出雲谷氏 はい、その通りです。普段から当社でできることをクライアントの担当者にアピールしています。企業形態によって望まれる形は違いますから、多様な提案をすれば、その時点ですぐに結びつかなくても、実際にクライアントがミーティングなどを開催する時に相談されるようになりますね。


Q.普段から種をまいておくのですね

出雲谷氏 そういうことになります。今はインターネットでさまざまな情報が得られますから、顧客が得る情報よりさらに付加価値のある情報を提供するように心がけています。こちらから発信するものがなければ仕事にはつながりません。


Q.多くの情報の中から、どのように取捨を決めるのでしょう

出雲谷氏 当社では平成20年から、イベントプロモーションだけを専門に取り扱う「市場開発部」という部署を設けています。こちらでは、長年この業務に携わってきた経験者が、さまざまな情報のなかから各顧客のニーズにあった情報をさらに吟味し、イベント企画にいかすよう努めています。


Q.MICEは他の旅行手配とどのように違うのでしょうか

出雲谷氏 MICEは、企業が「社員の意識や向上心を高めたい」あるいは「集合学習やコミニケーションをはかりたい」などを目的に、費用を投じるものが多いですね。キックオフイベントや各種ミーティングなど形態はさまざまですが、総合体として目的を明確にし、その実現に向かって作り上げる大きなステージだと思っています。

 観光が目的の社員旅行の場合、快適な宿、食事など人数や予算に応じて満足いただけるものを手配します。MICEの場合、それに加えて開催する目的を担当者からよくうかがい、費用対効果を考えながらイベントを盛り込んでいきます。目的を達成するのが大切なポイントになってきますので、何が目的なのかを担当者と事前にしっかり話しあうことですね。


Q.MICEを成功させるポイントは

出雲谷氏 私達スタッフが全体のイメージを把握することです。チケット手配からイベントまで、すべてを全体的、総合的に見ることが大切ですので、いろいろな業務を経験しているスタッフがいるのが望ましい。大ステージを築き上げるにはばらばらに作業するのではなく、全員が一致して同じ目的に向かって働くわけですから、その行動がぶれないことが重要かと思います。


Q.ステージを作る側の一致団結も必要ですね

出雲谷氏 そうですね。ひとつのステージを作り上げる、その目的を私たちがしっかり理解していなくてはなりませんから、こちら(旅行会社)側の一致団結も必要なことだと思っています。ですから、私も常に一緒に働く人々の話を聞き、話しあうようにしています。

 また、若い人には特に、ただ命令されるままに働くのではなく「いろいろなものに興味をもって、積極的に動いて」とアドバイスしています。やらなくていいこと、改善できることはないかを常に考え、変えられることがあれば相談してみてほしい。社内的にだけではなく、仕事面でもそれは次につながり、必ずフィードバックに反映されてきます。

Q.フィードバックはどのように役立てていますか

出雲谷氏 主にクライアントとの反省会で、その案件に携わったスタッフも含めていろいろな立場からの意見をうかがいます。フィードバックは担当者によっていろいろな評価がありますのでとても参考になります。例えば、仕事のスピード感を大切にする方、細かく常に確認作業をなさりたい方などさまざまです。どれも重要なことではありますが、どこを最も評価するのかを知ることで、その担当者と気持ちよく仕事ができるようになります。


Q.仕事のしやすさも大切なポイントですね

出雲谷氏 相手のことをよく知り、常に誠意をもって対応することで信頼関係が生まれると思います。「この人とならまた次も仕事がしたい」そう思っていただけたらうれしいですね。そのうえで、企業にとって価値のあること、そして適正な利潤を生むビジネスを提案していけば、話を聞いていただけますし、また納得していただきやすくもなります。


Q.“人”が重要ということですね

出雲谷氏 そうなんです。以前、京都でグローバルミーティングを開催した際、通訳を数人お願いしましたが、彼らは京都という土地を愛し、よく勉強しているだけでなく、私どもへはきめ細やかに京都ならではの提案を頂き、お客様へもとても献身的にサポートしてくださいました。おかげでお客様には大変満足いただき、大成功を収めることができました。このことで、現場で働いてくださる方々も大切なパートナーであることを実感しました。

 MICEは企業対旅行会社というビジネスではなく、細部にわたるまで人が作り上げていくもの。誠心誠意をもって対応していくことも重要なポイントだと思います。


ありがとうございました


取材:岩佐史絵


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