モルディブ観光大臣、「観光に関わる者は環境を守る責任」−JATA国際観光会議

  • 2008年9月19日
 モルディブ民間航空・観光大臣のアブドゥラ・マウスーム氏は9月18日、JATA国際観光会議2008で観光業と環境保全の取り組みのあり方について語った。モルディブは地球温暖化による海面上昇とさんご礁の死滅などにより、国土消滅の危機にさらされている。マウスーム氏は、「環境が保全されなければ観光は成り立たない」とし、「旅行会社や航空会社、宿泊施設、地元、旅行者など観光に関わる人間は、それぞれ環境を守る責任を持つ」と強調。そして、「観光は善意を育て、文化への理解を深められる。環境保護の取り組みを助け、貧困問題の解決にも一役担えるほか、発展途上国の収入も助けることができる」とその役目を説明した。

 旅行会社が可能な取り組みとしては、環境に配慮したリゾート施設やデスティネーションの販売を促進すること、環境負荷の低い航空会社を使用すること、顧客の理解を促進することを例示。このうち、環境負荷の低い航空会社とは、燃費効率や最大積載量、最短距離のルートや最適な高度と速度での運航などが判断の指標になるという。旅行者については、環境保全の取り組みに配慮し、自らも環境を保全できるよう行動する必要があると説明した。

 モルディブ政府としては、環境にやさしいデスティネーションとして、さんご礁の育成や減少傾向にある生物種の保全などに取り組んでいる。リゾート開発などに関する規制やガイドラインも設けており、開発は国土の20%のみに限定。また、深海から汲んだ水で部屋の空気を冷やす空調技術の導入なども進めている。環境保全の取り組みが優れている事業者を、大統領が表彰する制度もあるという。