カリフォルニア・アカデミー・オブ・サイエンス、環境重視し再オープン

  • 2008年6月4日
(ラスベガス発 宮田麻未) 2005年9月以来、大規模な建て直し工事が進んでいたサンフランシスコのカリフォルニア・アカデミー・オブ・サイエンス(CAS)が、9月27日にリニューアル・オープンする。新しい建物は、環境に優しいビルの建設を推進している米国グリーンビルディング会議から、LEEDプラチナ認定を受けており、完成すれば「世界で最も環境に優しい博物館」となる。屋根の上には1万平方メートルの緑地帯が広がり、カリフォルニアの自生種の植物や野草の花畑が生み出される。CSAは今後、「環境問題」や「建築」などの分野でも、大きな関心をあつめそうだ。

 従来の科学博物館というと、薄暗い室内に恐竜の骨格などの標本が並べられ、地球や生物の「過去の歴史と発展過程」を展示したものがほとんどだった。しかし、新生CASは、「地球上の生命がいかに進化したか」「いかにしてサバイバルしていくか」など、地球の未来を問いかけていく。博物館全体の省エネシステムやサスティナビリティが展示の重要な柱となるというのだ。例えば、屋根には有機薄膜太陽電池が張られ、CASの営業に必要なエネルギーの5%から10%はこれで賄われる予定だという。

 また、インタラクティブを多用した博物館としても、CASは世界で最も進んだものとなる。アフリカン・ホールには、プラズマのタッチスクリーンで南アフリカの原野が再現され、ゴリラやライオンなどの生態を極めて“リアルに”バーチャル体験ができる。また、カリフォルニアの環境問題に焦点をおいた展示エリアでは、恐竜のティラノザウルスからカリフォルニア州に生息した最後の灰色熊まで、環境の変化で消えていった生物を例に挙げながら、現在の生態系の危うさを訴えていく。このほか、4階建ての高さのドームに熱帯雨林が再現され、魚類から鳥まで、森林に生息する生物と環境との関係を実体験できる「リビング・レインフォレスト」や、高さ8メートル以上もある巨大な水槽に、フィリピンの珊瑚礁のエコシステムを再現した「リビング・コーラルリーフ」など、最新の技術を生かした大規模な展示が注目される。

▽公共交通の利用者には割引料金

 入場券は、8月からオンラインで販売する予定。入場料は大人24.95米ドル、子供14.95米ドルだが、サンフランシスコ市の公共交通の利用者は、3米ドルを割引くなど、環境問題に取り組む博物館ならではの割引制度も導入される。9月27日と28日には、家族向けのオープニングイベントが催される予定で、入場料も無料となる。

 なお、館内は完全バリアフリーで、車いすのレンタルも可能。カフェテリアやレストランも併設されているので、グループツアーでランチを兼ねて日程に組み込むこともできる。(写真:神尾明朗)


▽カリフォルニア・アカデミー・オブ・サイエンス
http://www.calacademy.org