成田空港が開港30周年、森中社長「世界一の空港」めざす−A380型機も就航

  • 2008年5月21日
 成田国際空港(NAA)は5月20日、開港30周年を迎えた。NAA代表取締役社長の森中小三郎氏は、「30年前にA滑走路と第1ターミナルビルで運用を開始したが、開港前も後も平坦な道ではなかった」と振り返りつつ、「それを乗り越え、大きな事故もなく安全に運用をしてきた関係者の経験値とモチベーション、マネージメント能力など、ソフトパワーが成田の最大の武器」と語った。「今後は『規模』だけでなく『質』で世界一の空港をめざす」とし、「開港30周年の今日が新しいスタートの日」と改めてサービス向上に注力する考えを示した。

 今後の規模の拡大は、地域の理解を得ながら進める考えで、完全24時間化も「地元との約束があり、考えていない。現在の時間を最大限に活用する」方針だ。国土交通大臣の冬柴鐵三氏が、羽田空港の深夜枠で欧州線を運航することを検討していることについても、「首都圏の消費者の利便性を考えれば、ある程度は仕方がないこと」と語った。ただし、「国際競争には空港が絶対に必要なパーツ」であることから、「日本と首都圏が力を失わないように、成田が中心となって首都圏の需要増加に応えていきたい」考えだ。羽田空港との棲み分けは、首都圏の国際線ネットワークの中心に成田を位置づけ、羽田を補完的に捉えることで、「自然に出来ていくと考えている」と語った。


▽シンガポール航空のエアバスA380型機が初就航

 成田空港の開港30周年記念日にあわせ、シンガポール航空(SQ)のエアバスA380型機が成田に飛来した。悪天候により、午前8時30分着の予定であった到着便が中部国際空港にダイバートしたものの、12時43分に無事に到着。出発便も定刻から1時間半遅れで、14時30分に全471席のうち、420人の旅客を乗せて出発した。SQ日本支社長のフィリップ・ゴー氏は、「成田空港の30周年を一緒に祝えて幸せ」と祝辞を述べ、「成田空港はSQにとって世界で最も重要なハブの一つであり、就航便数やA380のアジア初の就航地として選択したことで重要性を示せた」と語った。

 シンガポールから初便で来日した旅行者たちは、「音が静かだった」「後ろの人に気兼ねせずにリクライニングできる」と満足げな様子を見せた。また、SQでは日本発の便の利用者にも、搭乗ゲート前に特設ステージを設置してミニコンサートを開催したほか、初便限定で機体の模型などが入ったアメニティキットを手渡しており、いずれも期待感で顔をほころばせながらゲートをくぐっていった。なお、SQ広報・アライアンス部によると、A380型機の場合、シンガポール航空スイートクラスとビジネスクラスから空席がなくなる傾向にあるという。