シンガポール、MICE需要拡大と航空連携を訴求 外交樹立60周年で記念イベント

  • 2026年10月13日

 日本・シンガポール外交関係樹立60周年の記念事業「Japan-Singapore Business Gateway Night」が10月8日、都内で開かれた。オン・エンチュアン駐日大使が両国の経済関係の歩みと今後の連携について挨拶したほか、シンガポール政府観光局(STB)とシンガポール航空、全日本空輸(ANA)が、ビジネス・MICEの拠点としての同国の魅力や航空サービスを紹介した。

 オン大使は、日本企業がシンガポールの独立後早い時期から投資し、事業を継続してきたことに触れ、資本や技術、専門知識、雇用をもたらしたと評価した。シンガポールは現在、金融やイノベーション、テクノロジーの拠点であり、東南アジアや南アジアへのゲートウェイでもあると説明。地政学的な不確実性やサプライチェーンの変化が進むなか、両国が今後60年に向けて何を築くかを考え、日本企業との協力をさらに深めたいと述べた。

挨拶するオン・エンチュアン駐日シンガポール大使

STB、MICE需要拡大へ支援体制を紹介

 STBは、ビジネス拠点としての同国の接続性に加え、会議やインセンティブ旅行などMICEの開催地としての機能を説明した。MICEを担当するシンガポール・エキシビション&コンベンション・ビューロー(SECB)は、世界各地の19の海外拠点を通じてイベントの企画・開催を支援。会場や体験プログラムの提案など、金銭面以外のサポートも提供する。日本から約2000人が参加するインセンティブ旅行を支援した事例も紹介した。

 STBによると、シンガポールには460軒以上のホテルと7万4000室以上の客室がある。マリーナベイ・サンズでは、MICEスペースの拡充に加え、新たなホテルタワーとエンターテインメントアリーナの開発が進む。STBは、MICEによる観光収入を2040年までに3倍にする目標も掲げている。

SQ・ANA、共同事業で出張の選択肢拡大

 シンガポール航空とANAは、両社の共同事業が出張の利便性を高めると紹介した。会場では、日本とシンガポールを結ぶ便は両社合計で1日14便、片道約4000席と説明。羽田・成田、中部、関西、福岡を結び、冬季には約2カ月間、新千歳線も運航する。発表によると、平均で約3~4時間に1便の間隔となり、出張日程に合わせて便を選びやすい。

 共同事業では、対象となる便・運賃で両社の運航便を組み合わせ、共通運賃で購入できる。往路にANA、復路にシンガポール航空を使い、ANA便なら夜まで待つところを午後の便で帰国する例を紹介。また、大阪からシンガポールへ向かい、帰路は東京で商談した後、ANAの国内線で伊丹へ戻る行程も例に挙げた。出張の予定に合わせた便選びや、航空券の一括購入による手配の効率化につなげる考えだ。両社のマイレージプログラム間の連携も強化されている。

シンガポール航空とANAの共同事業について説明するシンガポール航空の佐野雄介氏

 機内サービスでは、シンガポール航空がスイート、ファースト、ビジネス、プレミアムエコノミー、エコノミーの5クラスを紹介。A380のスイートは6席で、ビジネスクラスは全路線でフルフラットシートを採用していると説明した。ANAはシンガポール線にボーイング787-9を投入し、ビジネス、プレミアムエコノミー、エコノミーの3クラスを設定。エコノミーのシートピッチは34インチ、プレミアムエコノミーは38インチ、ビジネスはフルフラットシートと紹介した。

 ANAは、利用者の希望に応じた機内食の選択肢も案内した。「Other Routes Meal Option」は、シンガポール線のビジネスクラス利用者が、対象路線で提供する別路線のメニューを事前に選べるサービス。選んだメニューからは前菜とメインを提供する。「Quick & Light Meal」は、サラダ、サンドイッチ、デザートの軽食に切り替え、食事サービスを短時間で済ませたい人向け。「No Thank you Option」は、対象便でメインの機内食を受け取らない選択肢だ。対象便や運賃などに条件がある。

 法人向けには、企業の出張規定や利用状況に応じてプログラムを提案する。柔軟な運賃、法人向け特典、ポイントプログラム、顧客サポートを組み合わせるとのことで、特典の例として、シンガポール航空は超過手荷物料金の免除、空港でのアテンド、ラウンジ利用券、空港送迎の割引を、ANAは超過手荷物料金の免除、赴任家族のサポート、空港宅配、ハイヤー、ホテル前泊サービスを挙げた。これらは一律に付く特典ではなく、企業ごとに提案内容が異なる。

 シンガポール航空は、2026年11月に新たな旅行体験を展開する計画も紹介した。機内食は全クラスで100種類以上のメニューを新設・刷新し、上位クラスではクリストフルがデザインした食器を導入するほか、飲料、機内エンターテインメント、アメニティー、通信環境、地上サービスも順次強化する。