JTB シンガポールは「重点取組方面」、政府観光局と共同で商品開発も
JTBとシンガポール政府観光局(STB)は5月19日、業界関係者を招いた「シンガポール販売拡大キックオフパーティー」を開催し、シンガポールへの日本人観光客数の現状や今後の販売戦略などについて発表を行った。
JTB仕入商品事業部長の藤原卓行氏は冒頭、JTBの過去1年間の海外旅行における募集型企画旅行と手配旅行の販売状況に触れ、これまではヘビーリピーターを中心とした手配旅行優位の状況が続いたが、3月は企画旅行のボリュームが40%までに上ってきており、直近では募集型企画旅行の予約数が手配旅行を上回っているという。そんな中、JTBは「23年度海外個人旅行における企画商品の戦略」の中で、ハワイを「最重点取組方面」、シンガポール、ヨーロッパ全域、グアム、台湾、オーストラリアを「重点取組方面」と位置づけており、OMO(Online Merges with Offline)の推進やルックJTBMySTYLEとJTB旅物語を活用して販促を図りたい考えだ。
シンガポールを重点取組方面とした理由について藤原氏は「シンガポールはホテルや食事の質も高く、アジアの中では世界のハイエンドが集まる国。また、清潔さなどクリーンなイメージがアフターコロナの海外旅行のリスタートにおいて、日本人の方々に受け入れられやすいと感じている。また、2017年のシンガポール政府観光局とのMOU契約締結移行、長らくシンガポールの販売拡大を推進しており、シンガポールの販売に自信を持つ社員も多い。」と述べた。
送客に向けた主なターゲットはファミリー層としているようで、実際に19年度ルックJTBにおけるシンガポール商品の取り扱いシェアではファミリー層が59%を占めているという。仕入商品事業部 海外商品企画部長の楠山賀英氏は「日本との時差がほとんどないことや衛生面、治安の良さ、フードコートなど食事面での選択肢が多いことに加え、ユニバーサル・スタジオ・シンガポールなどファミリー向けの施設も充実している点がファミリー層に受けやすいのではないか。」と分析している。
また、シニア層の旅行需要獲得を目指すSTBとは協業での旅行商品開発を今後進めるようで、シニア層への販売を得意とするJTB旅物語を活用した需要獲得を目指す。
シンガポール政府観光局北アジア局長のセリーン・タン氏は「今年の4月までのシンガポールへの日本人訪問客数は2019年同日対比で約4割程にとどまっている。水際措置が撤廃された今、海外旅行の本格的な再開の絶好の機会。」と意気込みを語った。4月までのシンガポール外国人訪問客数は2019年同日比で64%まで回復しており、日本人観光客数の回復が大きく遅れを取っている状況だ。
シンガポールは2月13日に既にコロナ関連の水際措置を撤廃しており、また、チャンギ空港では昨年5月から入国審査に自動化ゲートを導入、2024年を目途に出入国審査の完全自動化を目指しているという。
なお、現在STBでは「シンガポール リワード」キャンペーンを展開。これは個人旅行者を対象として「サステナビリティ」「ウェルネス」「食」「新しい発見」などをテーマとした約40のプログラムの中から好きなプログラムを体験できるもので、年内いっぱいの開催を予定している。