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新春トップインタビュー:OTOA会長 大畑貴彦氏

オペレーター規制で法的位置づけを明確に
下請法違反の「悪しき習慣」撤廃へ

-昨年は公正取引委員会が下請法違反で農協観光に勧告を出しました。こうした問題に対するご見解をお教えください

大畑 公取委が下請法違反で旅行会社名を公表して勧告を出すのは、2013年4月の日本旅行についで2回目だ。今回、日本旅行業協会(JATA)は社名は出さなかったが、会員各社に対して勧告が出された事実を連絡し、併せて注意喚起した。

 JATAは過去に下請法に関するセミナーを実施したが、参加者は各旅行会社の総務や法務などの担当者が多かったと聞いている。実際に問題が生じるのは現場の営業が多い。現場の社員にまで下請法についての内容やコンプライアンスに対する考えを浸透させないと、現実的には改善は難しい。

 業界向けにガイドラインを作るという話もあったが、なかなか進まない。感覚としては、下請法違反の事例はまだまだあると思う。我々としては、具体的な違反が発生したときは公取委や中小企業庁、あるいは「下請かけこみ寺」にきちんと訴えるよう、会員に引き続き呼びかけていく。

 長期に渡り会長職を勤めるなか、最近はいろいろな場面で下請法の話をするようになってきたが、問題は今日明日に解決できるようなものでもない。会員に対しては勇気を持って対処するよう、声を上げるよう呼びかけ続けるしかないだろう。

 旅行業界も世代交代が進んできた。一部の旅行会社にはほとんど下請法に関する問題が聞かれなく、契約書面などの管理もしっかりやっている会社もある。ランドオペレーターが「旅行会社から仕事をいただいているので仕方がない」と考えてためらうこともあると思うが、悪しき習慣を続けてはならない。


-テロや自然災害時のリスク管理についてお考えをお聞かせください

大畑 ランドオペレーターにとって旅行者の安全確保はもっとも重要なことだ。OTOAでは会員が入会する際、海外の取引先の情報や非常時の連絡体制に関する書類を提出してもらい、審査した上で入会を承認している。また、取引先、特に事故が多いバスなどの車両については、毎年整備状況などを確認するように会員に要請している。

 ツアーオペレーターは社員数5名以下の小規模の会社が圧倒的に多い。そうした会社に対し、責任者や広報担当者を決定して非常時に向けた組織や体制を作ることは非現実的だろう。重要なのは、実態にあった形で各人が何を担当するのかを明確にすることで、各会社が自社に適した体制を構築すれば良いと思う。OTOAとしては、会員各社が体制づくりをおこなう際、参考にできるような機会や材料を提供していきたい。


-ありがとうございました