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インタビュー:知床グランドホテル常務取締役の桑島敏彦氏

  • 2016年11月10日

「普通の宿」からの脱却
「ネイチャーリゾート」めざし取り組みも

-インバウンドの現状はいかがでしょうか

客室から望む大海原(知床グランドホテル提供)

桑島 15年の斜里町全体のインバウンド比率は9.2%でしたが、北こぶしは現在約16%、風なみ季が約9%です。この10年間、私が海外に営業に出ており、香港や台湾、シンガポール、マレーシアなどの現地旅行会社に送客を呼びかけています。

 北こぶしへの団体が中心ですが、FITも増えています。FITは自社サイトが一番多いのが特徴で、今後はFITを中心に全体の30%まで増やしていきたいと考えています。

 特に欧米の方に来ていただきたいのですが、プロモーションの手段は模索中です。とはいえ、なぜかフランスやドイツからのお客様の連泊は増えてきており、お話をお聞きしてみると屋久島と知床で迷ったというようなお声もお聞きします。


-旅行会社とはどのように取引されていますか

桑島 数字でいうと、11年前は売上の8割が旅行会社、いわゆるリアルエージェント経由でしたが、今は40%少しにまで減りました。ウェブが概ね4割です。旅行会社とはまんべんなくお付き合いをしており、良好な関係を築けている方だとは思いますが、アロットメントへの対処など現場にとって負担が大きいのも事実です。

 もちろん個人のお客様が動かない時期に大勢のお客様を送客いただけるのは、規模の大きな施設としては大変ありがたい存在です。とはいえ、アロットメントについては、現在では共用在庫のような考え方もありますし、時代に合わなくなってきていると感じており、縮小していくつもりです。


-中長期的な目標などはお持ちでしょうか

桑島 ウトロや阿寒湖、層雲峡の温泉が知られていますが、もとも知床は温泉ではなく自然を目的として来られる場所です。北の世界遺産は知床ですし、北のネイチャーリゾートとして新しいイメージをつけていくのが目標です。我々の宿も、旅館から少しずつ脱却していこうとしています。

 もちろん我々だけでできることではないですが、地域の受け止めに温度差はあるものの、悪く捉えられる方はあまりいない印象です。ネイチャーリゾートという言葉が漠然とはしていますが、「そういう雰囲気になるならいいね」と。理想像は共有できているのではないかと思います。

-ありがとうございました