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現地レポート:MSCプレチオーサのベネツィア発着・東地中海クルーズ

  • 2014年6月19日

イタリア客船のMSCクルーズで地中海旅行
カジュアル客船の受け皿の広さで新しいヨーロッパ商品としての取扱いを

MSCで最も人気の客船、MSCプレチオーサ
ワンランク上の「ヨットクラブ」の選択も

乗船して最初に足を踏み入れるアトリウム。一段一段にスワロフスキーが敷き詰められた階段の輝きが印象的

 2013 年就航のMSCプレチオーサは、新造船の新しさが感じられ、船内は明るい雰囲気だ。カジュアル客船だが、船中央部のアトリウムは3層吹き抜けの空間を確保し、スワロフスキーを埋め込んだ階段を備える贅沢なつくり。イタリア客船らしいスマートカジュアルな雰囲気で、イタリアに親近感の強い日本人に好まれやすいだろう。

複数のプールがある客船は多いが、インフィニティプールは珍しい。航跡に続くプールだ

 13万9000トンの船体は、世界最大22万トンが航行する現在では珍しくないサイズに聞こえるが、やはり大型船。乗船するとその規模を実感する。船内には6つのレストランと9つのバー・ラウンジをはじめ、各種施設がそろう。例えばプールも、メインプールと子供用プールのほか、ソラリウム、インフィニティプール、18歳以上限定の「TOP18ソラリウム」など多様で、それぞれ雰囲気や利用者の過ごし方が異なる。

ビュッフェレストランはカジュアルながらも木を用いた落ち着いた雰囲気。インカ、マヤがテーマ

 このほか船内イベントも実施しており、7泊8日のクルーズで終日航海が1日という今回のコースでは、クルーズライフと寄港地観光を含めたトータルバケーションを楽しもうとすると、すべて体験できないほどのバリエーションを擁している。


ショーは言語に関係なく楽しめる。アクロバティックなものから、「アバター」をモチーフにしたショーも

 船内で最も大切な食事だが、やはり食に定評のあるイタリアの客船。純粋な和食のメニューがなくても(ビュッフェでの日本食提供や寿司バーのある船もある)、最後の日程まで美味しく楽しめたのは、日本人の舌にあうイタリアン基調ということと、メニューのラインナップにあるのだろう。特に有料レストランには日本でも人気の「EATALY」があり、イタリアの味をこれでもかと愉しむことができる。

メインダイニングのある日のメニュー。素材を活かした味付けの料理が多い

 もうひとつ、MSCクルーズの特徴として外せないのが、MSCヨットクラブ。ホテルの上級フロアのような、利用客だけのワンランク上の専用エリアだ。近年、このトレンドは他のクルーズ客船にも広がっているが、その発祥はMSCクルーズ。2008年就航のMSCファンタジアから搭載し、13万トン以上の4客船で運航している。

MSCヨットクラブのラウンジでは毎日100種類以上のメニューを提供。アルコール、ソフトドリンク、ミニバーの利用のほか、船内の有料レストランの利用なども料金に含まれている

 船はカジュアルクラスだがMSCヨットクラブは6ツ星サービスを提供しており、カラーラ産の大理石など上質なインテリアが配されたキャビンは69室。24時間対応のバトラーもつく。生ピアノが演奏される専用のロビーラウンジ、ソムリエサービスのある専用レストランなど、賑やかな船内のなかでMSCヨットクラブには別の空気が流れている。

MSCヨットクラブのスタンダードキャビン、デラックススイート。日本語新聞のサービスや選べる枕サービスも

 MSCクルーズ日本オフィスによると、同オフィスが送客する日本人客(日本発のパッケージツアー)はシニア層を中心に年間約1万人。年々拡大しているものの、主要市場である欧米に比べればその割合は小さい。しかし、MSCヨットクラブに限ると日本人の利用率はトップクラスに浮上する。

 「日本人のために作った」という狙い通り、時に静かに上級に、時に陽気にカジュアルにと、自分のペースに合わせて雰囲気やサービスを選べるMSCヨットクラブは、日本人にあっている。ある意味で、ラグジュアリーシップでは楽しめないクルーズである。