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インタビュー:JTB九州海外旅行部販売企画課長の多田望氏

海外旅行需要高い九州市場、ハワイ定期便でさらなる販売拡大を

-旅行形態としての特徴はありますか

 
全体的な傾向として、九州は特に団体が強かったのだが、最近は明らかに減ってきている。以前は、人数ベースで団体と個人の割合が半々くらいだったが、今は団体が4分の1程度に減ってきている。これは、機材繰りなどによるものというよりも、嗜好の問題だろう。

 方面別にみると韓国が好調で、これは近さが一番の理由だと思う。若い人も年配層も何回も渡航するためリピーターが多い。福岡からは、ソウル、釜山、済州島への航空路線があり、さらに、船による渡航も浸透していることも関係しているのだろう。ほかに、台湾、東アジア、香港など東アジアは需要が高い。ロング方面で好調なのはハワイだ。直行便がなくても需要は高く、チャーターも2011年は他のデスティネーションに比べても多い23本を設定している。

 また、経由便に対する抵抗もなくなっている。むしろ成田よりも仁川を選ぶケースもあるほどだ。例えば、ハワイ方面であれば、以前に日本航空(JL)がホノルル線を運航していたころは、仁川経由の大韓航空(KE)を利用する割合は1%程度だった。しかし、JLが撤退して成田経由となった時に利便性や座席確保の問題が出てしまい、仁川に活路を求めて商品を造成したところ浸透してきた。

 浸透したのは、品質が高いことが理由のひとつだが、仁川空港自体の利便性も高い。日本語の案内表示や日本語を話すスタッフなど対応が充実し、導線も機能的だ。免税店の規模も大きく、日本の空港と変わらない。2010年の弊社の実績では、ハワイツアーの参加者の27.7%がKEの仁川経由便を利用していた。

 このほか、ロング方面ではハワイと同様にKEの経由便でヨーロッパの別冊パンフレットも作成している。


-航空仕入れに関して課題はありますか。また、それに対して旅行会社としての取り組まれたことがあればお聞かせください

 仁川経由の商品では、韓国の景気に左右されてしまう点が課題になる。韓国の景気が良くなれば座席が確保しにくくなったり、料金が上がってしまったりする。逆に、韓国の景気があまり良くないと座席も確保しやすくなり料金も安くなる。このように日本の状況とは関係なく左右されてしまうため、やはり、一番良いのは福岡からの直行便の数をできる限り増やすことだ。仕入れ、商品造成の戦略をたてる上でも重要になる。

 直行便増加の努力のひとつとして、実は12月末に就航予定のデルタ航空(DL)のホノルル線については、JTB九州としてコンサルティングとまではいかないまでも、就航にあたり協力をさせていただいた。地方マーケットは東京や大阪とは違うところがあるし、人的なつながりが強い。弊社としても販売面の協力についてコミットメントを示し、お互いがwin-winの関係になるようにしたいと考えている。