ASEAN10ヶ国、50周年で大規模キャンペーン-ATF開幕

  • 2017年1月18日

パーティーではASEAN10ヶ国の観光大臣とシンガポール首相のリー氏が登壇し、キャンペーンの開始を祝った(シンガポール発:栗本奈央子) 東南アジア諸国連合(ASEAN)10ヶ国による「アセアン・ツーリズム・フォーラム(ATF)」がこのほどシンガポールで開幕し、1月18日にオープニング・ガラパーティーが催された。同フォーラムは各国の観光大臣による会議や旅行商談会などからなるイベントで、16日から20日まで開催。ASEANは昨年3月に、設立50周年を迎える2017年に観光キャンペーン「Visit ASEAN@50:Golden Celebration」を実施することを発表しており、パーティーではシンガポール共和国首相のリー・シェンロン氏がキャンペーンの開始を宣言した。

 リー氏は観光について加盟各国が協働することで、「観光がもたらす経済成長や雇用創出、人的交流などの利益を共有することができる」と意義を強調。「ASEANを1つの旅行先としてプロモーションする『Visit ASEAN@50』キャンペーンを実施できることは大変喜ばしい」と語った。

リー氏  キャンペーンでは10ヶ国が「50のフェスティバル」と「50の思い出に残る旅行体験」を各国で紹介し、文化や歴史、自然、人々のホスピタリティなどをアピールする予定で、ターゲットはASEAN各国と中国、日本、韓国、インド、オーストラリア、欧州、中東、北米。リー氏は目標の1つとして、ASEAN内外から各国を訪問する外国人旅行者数を15年の1億890万人から1億2100万人に増やすことを挙げ、「完璧に達成できる目標」と自信を示した。

 このほか、同キャンペーンでは観光収入を14年の750億米ドルから830億米ドルに引き上げること、旅行者の平均滞在日数を5日から6日に伸ばすこと、1度の旅行で2ヶ国以上への訪問を促すことも目標として設定。旅行業界や航空業界などと協業するほか、各種メディアを活用した告知やソーシャルメディアを使ったキャンペーン、メディア向けファムツアーも実施する計画だ。

 リー氏はそのほか、今年のATFのテーマが「Shaping our Tourism Journey Together」であることを説明。「ASEANとしての力を発揮する」ために共同で取り組むべき施策として、航空路線網の増強、クルーズ観光の強化、観光産業に携わる人材の育成などを挙げた。

 パーティーには、日本から観光庁審議官の瓦林康人氏や日本政府観光局(JNTO)の担当者なども参加。瓦林氏は本誌の取材に応え、「ASEANとの間には観光を超えた深い結びつきがある。関係強化は常に大きな課題」と述べた。また「観光に関しては双方向の交流が重要。インバウンドだけでなく、日本からASEANに行くことが信頼関係、連携を深めることになるのでは」と語り、取り組みに意欲を示した。