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女性独自の視点で業界発展へ、環境整備の課題も-JATA経営フォーラム

  • 2014年4月24日

女性の活用、企業も制度の整備を
積極的な人材登用も

パネリストで「黒一点」だったスターツ出版代表取締役社長の菊地修一氏 女性ならではの力を社会で活かすために課題となるのが、女性が長く働き続けるための環境整備だ。スターツ出版の菊地氏によると、日本では30代女性の働く女性が少ないが、その要因として出産や子育などで6割が退職することをあげた。「育成する企業も困るだろう。旅行業界の中心は女性であることから、支障が出るのでは」とし、企業として男女の差を意識し、働き方の見直しをするべきとした。

 菊地氏は自社の事例をもとに、女性の働きやすい環境整備の重要性を指摘。現在スターツ出版では180人の社員のうち65%が女性で、女性の編集長が3名、営業のリーダークラスが10名。子育てしながらリーダー職につける女性を養成したいとの考えのもと取り組みを続けてきており、現場での協力体制を強化したところこの半年で5名が出産後職場に復帰した。出産後復帰するモデルケースが増えたことで、20代女性で早く結婚し、出産してから仕事に戻りたいというニーズが社内で増えてきたという。

 ただし、出産後は時短勤務での復帰となるため、現場が混乱するなど周りへの影響は少なからずあるとし、女性の側も制度に甘えず、独身者もいる職場の中で周囲への配慮も必要とした。

 また、楽天ANAトラベルオンラインの種家氏は、女性が活躍できる場を作るためには「人事配置の際、上司や人事担当者にもっともっとチャレンジしていただきたい」と要望し、少し難しい業務を任せ、チャレンジとステップアップの場を用意することが女性を労働力として有効活用できるのではないかと提案した。銀座なでしこ会の白坂氏も「仕事を丸投げしたほうが成長は早い。丸投げして周りでフォローするというやり方も一つでは」と話した。

 また、白坂氏は「女性をどういう風に活用するかを男性経営者が悩んでいる」現状があるのではないかと示唆。「女性の活用の仕方を男性が決めないといけないのが問題。あえて女性トップ登用もひとつの手ではないか」と語った。

モデレーターを務めたANAセールス常務取締役の伊豆芳人氏 日本旅行の七海氏は「女性の中でも働き方、生活環境、背景が違う方が多いため、マネジメントの難しさはつきまとう」としながらも、「大企業であればあるほど時間はかかるだろうが、視野が広がらない企業は取り残されていくのでは」と警鐘を鳴らした。さらに、制度上休暇が取りやすくなれば、旅行のチャンスも生まれるとし、女性市場の拡大に繋がる点についても着目して欲しいとした。

 こうした議論を踏まえ、モデレーターの伊豆氏は「企業側も志ある女性を育成し登用する意識改革が必要ではないか」と示唆。女性が働き続けられる制度づくりは重要な経営方針であるとし、「女性の育成、登用、環境整備は女子旅行市場の拡大にも繋がる。複合的に進めていくことが今後求められることでは」とまとめた。