トップインタビュー:エアアジアX(後)、日本市場での展望と差別化

  • 2012年8月7日

流通の基本はオンラインも旅行会社のバリューに期待
成田就航にも高い関心



-日本市場に参入してから1年半が立ちました。これまでの結果をどのように評価していますか

オスマン・ラニ 羽田に就航した3ヶ月後に、東日本大震災が発生し、想定していなかったことが起こったのは確かだ。しかし、我々が飛びはじめたことで、日本でLCCへの関心が高まったことは大きいと思う。当初、日本人の乗客は20%ほどだったが、1年後には40%にまで増加した。今では46%。理想の50%にかなり近くなった。

 飛び始めた頃、日本人はあまりLCCモデルに慣れていなかったようだ。しかし、ピーチ・アビエーション(MM)が飛び始め、ジェットスター・ジャパン(GK)やJWが立ち上がったことで、LCCとはアラカルトでサービスを選ぶものという認識が浸透してきたと思う。これは日本に限ったことではなく、新しいマーケットではどこでも見られる傾向だ。日本人の海外旅行に占めるLCC利用の割合は全体の5%にすぎない。この点からも日本のポテンシャルは高いと思う。

 また、日本の旅行業界でLCCの認知度が高まったことも大きいことだ。LCCは新しい需要をつくり出していることから、LCCを利用すれば、これまで扱ってこなかった顧客を取り込めると気づいたのではないか。


-日本では日本航空(JL)と全日空(NH)が相次いでLCCを設立しました

オスマン・ラニ なぜ、レガシーキャリアがLCCを立ち上げるのか。ベンツやシャネルを求める人はユニクロには行かない、という発想なのだと思う。クアラルンプール国際空港の年次報告によると、2006年では旅客2400万人のうち、25%がLCC利用者であったが、2011年には旅客が3770万人に増加したとともに、LCC利用者も50%まで上がった。これは、LCCはマーケットシェアを奪っているのではなく、新しいマーケットを造っていることを示している。

 そこで、レガシーキャリアは考えたはずだ。現在のビジネスは安定しているが、成長の余地がない。今後航空市場が拡大していくなかで、その新しい需要を摘み取るためにはLCCを立ち上げる必要がある、と。しかし、労働組合や企業文化の違いなど難しい側面は多々あると思う。


※前編、“LCCは「ユニクロ」-戦略面の歩み”はこちら
 トップインタビュー:エアアジアX(前)、LCCは「ユニクロ」-戦略面の歩み