東北道のツアーバス事故、第2種のアイ.ティ.エスに立入検査
観光庁は、8月2日、同日宮城県内の東北自動車道で発生した高速ツアーバス事故について、大阪府にツアーの企画実施会社「アイ.ティ.エス」への立入検査を要請した。アイ.ティ.エスは大阪の第2種旅行業で、日本旅行業協会(JATA)には非加盟。高速ツアーバス連絡協議会に加盟していた。
今回の事故は2日の4時10分頃に宮城県白石市の東北自動車道下り線で発生。東京ディズニーランドから新宿などを経由し仙台へと向かう高速ツアーバスが、前方を走行していたトラックに追突後中央分離帯に衝突し、乗客35名が軽傷を負った。
大阪府都市魅力創造局国際交流・観光課観光振興グループによると、8月3日現在、立入検査の内容を精査し、旅行会社に違反事項があったかを確認中だ。運行事業者であるクルージングワールドに対しては、関東運輸局が立入検査を実施しており、乗務時間に伴う交代運転者の配置で違反があったことが判明している。観光振興グループでは今後責任の所在について運輸局側と協議し、行政処分の可能性も含めて検討していくとした。
また、観光庁はアイ.ティ.エスに対し、適切な被害者対応をおこなうよう指導を実施。さらに、観光産業課長名で、高速ツアーバスを企画実施する第1種旅行業や日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)、各都道府県などに「高速ツアーバスにおける安全確保の再徹底について」通達を発出。「このような事故が再び発生することがないよう、緊急対策の内容を適切に実施し、高速ツアーバスの運行の安全確保に万全を期すよう」呼びかけた。
これを受け、JATAでは会員会社にメールで文書を通知。ウェブサイトでも高速ツアーバスに関する安全指針を掲載しており、引き続き会員に緊急対策の内容の実施を呼びかけていく方針だ。
なお、国土交通省自動車局安全政策課も、安全政策課長と自動車局旅客課長名で観光庁と同様の通達を発出。公益社団法人日本バス協会会長と、高速ツアーバス連絡協議会会長などに送った。今後は地方運輸局が実施する夏の一斉点検を強化し、一層の事故防止に努めていく考えだ。なお、クルージングワールドに対してはすでに交代運転者の配置に対して改善を指示しているという。