クレジットカード不正利用、コロナ禍の今こそ対策を-UCカード山口哲史氏

-観光産業におけるカードの不正利用の具体例をお聞かせください

山口 代表的な事例としては、旅行代理店を騙る悪徳業者が、不正に取得したカードを使って宿泊代金などを決済するケースがあります。業者は通常よりも安い価格を設定して消費者を呼び込み、消費者はその業者で旅行や宿泊施設の申し込みを行い、現金やカードで代金を支払います。業者は宿泊施設に代理で予約をする際、本来なら現金やコーポレートカードで支払うところを不正に取得したカードを使うという手法です。このような場合、不正利用されたカードの保有者から申し出があって判明します。

 現在のところこういった不正は海外経由での発生事例が多く、悪用されるカードも海外で発行されたカードが多いのですが、オンラインでの申し込みだけでなく、ファックスで宿泊施設に直接依頼が入るような場合もあります。

-観光産業では、出発間際の航空券の手配や宿泊など、不正利用が発覚してもサービスを停止することができないような状況があります

山口 まずは決済を取消すことが有効ですが、不正犯というのは、その店舗で不正をしたいというよりも、不正ができる場所で不正を働こうとする傾向があります。不正が発覚した時点で速やかに取消しをしたり、次回以降取引ができないようブロックするなどの対策を取ると、不正犯もやりづらい相手だと判断し、狙われにくくなります。起きてしまった不正への対応ではありませんが、不正を増やさないという観点からは非常に重要な対策だと思います。