トップインタビュー:トラベルスカイテクノロジー日本社長の張偉氏
充実の中国コンテンツを武器に日本でビジネス拡大
自社端末「eTerm」を積極展開
中国の航空業界、旅行業界向けにITソリューションを提供する中国民航信息網絡股份有限公司(トラベルスカイ)の日本法人「トラベルスカイテクノロジー日本」は、日本市場での取り組みを強化している。2014年にはBSP-JAPANに加盟し、同社のGDS端末「eTerm」を通じたBSP発券が可能となった。他のGDSとの差別化について、「中国に関わるコンテンツが充実していることが強み」と話す同社社長の張偉氏に、訪日中国人旅行者が急増し、日中間の航空網も拡大するなか、今後の日本市場でのビジネス展開について話を伺った。
-まず、トラベルスカイの事業内容についてお聞かせください
張偉氏(以下敬称略) トラベルスカイは、中国民用航空局(CAAC)のシステムプロバイダーとして1979年に設立された後、2000年に民営化されて独立した。翌年には香港株式市場に上場し、現在は香港株式市場が株式の約30%を、中国系航空会社が約40%を、親会社のトラベルスカイホールディングスが残りを保有している。
展開している事業は大きく分けて、旅客サービスシステム(PSS)の提供、GDS 事業、BSP精算業務の3分野。売上比率では、PSSが70%から80%ほど、その他がそれぞれ10%から15%ほどになっている。
PSSでは、航空会社の在庫管理システム、航空会社の予約システム、航空会社のeコマースシステム、チェックインシステムを含むデパーチャーコントロールシステムを扱っている。中国には約40社の航空会社があるが、ほぼすべての航空会社がトラベルスカイのPSSシステムを使用している。デパーチャーコントロールシステムについては、中国国内に150以上あるすべての空港に提供しており、日本の空港でも中国系航空会社の路線展開に応じて利用が増えている。
GDS事業については、中国国内のマーケットシェアは95%以上。2年前に中国のGDS市場が開放され、セーバーやアマデウスなど外資系のGDSが参入してきたが、中国でのローカライズに苦労しているようで、現在も我々がシェアのほぼ100%を占めている。
BSP精算業務については、グループ会社の中国航空結算有限公司(ACCA)が各国のBSP精算処理をおこなっている。日本BSPの精算処理業務は3年前にみずほ銀行からACCAに移行した。現在、ACCAでは日本を含む世界100ヶ国以上の精算処理をおこなっており、世界一の国際航空運送協会(IATA)データプロセッシングセンターとなっている。