[総評]　今週は、ANAセールス代表取締役社長に4月1日付けで就任された白水政治氏の記事が1位になりました。インタビューの詳細は後日掲載しますが、ANAホールディングス（ANAHD）の経営戦略の中で、ANAセールスとして流通との関係改善などに精力的に取り組んでいくご方針はお伝えできたかと思います。

　また、ランキングでは3位がピーチ・アビエーション（MM）、4位がANAセールスといずれもANAHDと関わりがあります。さらに、羽田での国際線増便を好機として事業を大きく成長させようとするANAHDにとって、2位に入ったユナイテッド航空（UA）の羽田／サンフランシスコ線が持つ意味も大きく、広い意味で見れば1位から4位までをANAHD関連の記事が占めた1週間となりました。

　UAのサンフランシスコ線は、記事でも触れていますが成田国際空港が開港して以降ではUAにとって初めての羽田就航で、羽田でのスターアライアンスの存在感が一層大きくなります。

　運航開始日は10月28日で、米国運輸省（DOT）は当初3月30日から180日以内、つまり9月26日までの就航を求めていたのですが、UAによると、4月11日付けでDOTに提出した就航期限の35日間延長要請が認められたとのことです。

　気になるのは、UAのこの要請に対して、UAと枠を争って敗れたハワイアン航空（HA）が噛み付いていた点で、平たくいえば「当初の規定通りにUAが飛ばせないなら我々に枠を渡せ、準備はできている」と主張していました。確かに、結果が出てから条件の変更を求められると納得がいかないのは理解できるところで、DOTがこの主張をどのように判断したか興味深く感じます。

　また、今週はこのほかオーストラリア政府観光局（TA）の記事もランクインしています。ケアンズで開催されている旅行商談会「オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ（ATE）2014」に私が参加し、TA本局局長のジョン・オサリバン氏と日本・韓国地区局長のアンドリュー・ライリー氏に直接お話しをお伺いしたもので、多くの方に読んでいただき殊更ありがたく感じています。

　この2年ほど出張をする機会に恵まれていなかったのですが、久しぶりに現地の空気を感じ、観光素材を視察し、そしてサプライヤーの皆様や日本から参加された旅行会社の皆様と直接お話しすることができ、改めて実際に体験することの重要性を認識しました。

　やはり百聞は一見にしかずで、100回のセミナー受講よりも1回の訪問の方が身につく説得力は高いでしょう（セミナーが不要とは思いませんが）。旅行会社従業員の知識不足が指摘されて久しいですが、優待旅行にせよ視察旅行にせよ、1年に1回でも必ず現地を訪れることを義務付けるような仕組みづくりを業界全体で思い切ってすることは不可能でしょうか。

　「紺屋の白袴」という表現は、紺屋が忙しくて自分の袴を染められない状態と学んだ覚えがありますが、本来であれば魅力的な紺色に染まっていない袴を身につけた紺屋に誰が仕事を頼むのかという気もします。また、その紺屋が「皆さん、紺の袴を履きましょう」といって説得力があるのかも疑問です。

　以前から当欄で書いていますが、有給取得率やパスポート取得率、出国率の向上などは、旅行業界が率先して取り組むべきことであるはずです。

　仕事が回らない、会社が立ち行かない、人を増やせないなど、できない理由を考えるのではなく、どうしたら一歩でも目標に近づけるのか、業界関係者全員でアイディアを出して取り組みたいものです。そのためのプラットフォームとしてトラベルビジョンができることはないかを含め、私自身も考えていきたいと思います。（松本）

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
（2014年5月第3週：5月9日0時～5月16日19時）
第1位
◆ANAセールス白水社長、販社として座席販売に注力、流通との関係強化も（14/05/11）

第2位
◆ユナイテッド航空、羽田／SFO線開設、10月28日から－成田線は1日1便に変更（14/05/12）

第3位
◆ピーチ、隣席を空スペースとして予約可能に－1名2席まで（14/05/13）

第4位
◆ANAセールス、顧客専用ラウンジ開設－対面カウンターも（14/05/13）

第5位
◆デルタ航空、6月の日本発着リゾート路線を一部欠航－4路線18便で（14/05/15）

第6位
◆現地レポート：イタリア、ベネツィア線就航でアルプス滞在商品の可能性（14/05/15）

第7位
◆オーストラリア、シェア拡大へ業界と関係強化、座席増にも期待（14/05/13）
◆豪商談会「ATE」開幕、食とワインで誘客強化へ（14/05/12）

第8位
◆旅行業倒産、4月は前年より5件減の2件－宿泊業は10件に（14/05/13）

第9位
◆JATA、訪日2000万人に向け提言－地域分散などに助成要望（14/05/14）

第10位
◆日本航空、沖縄地区の夏期制服デザインを一新（14/05/13）