カスハラ対策義務化、宿泊施設の8割が準備途上 被害経験は54.7%
10月1日から事業主にカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務付けられたなか、宿泊施設では対策が十分に進んでいない実態が明らかになった。ダイブグループが全国の宿泊施設を対象に実施した調査によると、過去1~3年にカスハラに該当する言動を受けた施設は54.7%に上った一方、同社が厚生労働省の指針をもとに設定した6項目すべてへの対応を完了している施設は19.3%にとどまった。
調査は9月1日から11日にかけて、ダイブの取引先施設と宿屋塾のメールマガジン登録施設のうち、ホテル・旅館などに勤務する経営者、管理職、従業員を対象に実施し、192人から回答を得た。
カスハラを経験した施設では、「半年に1回程度ある」が41.9%、「月に1回程度ある」が27.6%となり、約7割が半年に1回以上の頻度でカスハラに直面していた。内容では「暴言・怒鳴る等の威嚇的言動」が66.7%で最も多く、「過度なクレームの繰り返し」が63.8%で続いた。「長時間の拘束」と「金銭・過剰なサービス・返金の要求」もそれぞれ48.6%だった。
施設運営への影響では、「従業員の士気・モチベーションの低下」が63.5%で最多。「シフト調整や人員配置に支障が出た」が21.9%、「休職・メンタル不調者が出た」が18.2%、「従業員の離職につながった」が14.1%となり、人材確保が課題となる宿泊業でカスハラが人員面にも影響を及ぼしている状況が示された。
実際の対応では、「すぐに上司・責任者に報告した」が79.7%と最多で、「複数人で対応した」が59.4%だった。一方、実施した対応のうち効果を実感した割合を見ると、「警察・弁護士等の外部機関に相談した」は50施設中49施設の98.0%が効果を感じたと回答した。
対策の準備状況では、「一部の項目は対応済みだが、未着手の項目もある」が58.3%、「ほとんど手をつけられていない」が22.4%で、合わせて8割を超えた。個別の取り組みでは「相談窓口の設置・明確化」の対応済みが41%だった一方、やり取りの録音・記録や対応内容を残す体制の整備は22%にとどまった。
準備を進めるうえでの課題は「人手不足で手が回らない」が43.2%で最も多く、「何をすればよいかノウハウがない」が34.8%で続いた。業界団体や宿泊業界向けサービスに期待する支援では、「他施設の対策事例・成功事例の共有」が62.5%で最多。「研修プログラムやマニュアルの雛形提供」と「業界横断でのガイドライン策定」がそれぞれ45.3%となった。
改正労働施策総合推進法に基づき、10月1日から企業規模を問わず事業主にはカスハラを防止するための雇用管理上の措置が義務付けられている。厚生労働省は、カスハラへの方針の明確化や相談体制の整備、発生後の迅速・適切な対応、悪質な行為への対処方針や体制の整備などを求めている。
