【星野リゾート関西プレス発表会】注目の「星のや飛鳥」、星野佳路氏が語る関西観光への提言
地域と考える持続可能な観光、明日香村と星野リゾートでスタッフの人材交流も
注目の奈良エリアでは、「星のや奈良監獄」が登場するJR東海のCMが放映(9月より関東静岡エリアで放映中)の後、星野リゾート代表の星野佳路氏が登壇。「星のや飛鳥」は、今年の「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録を狙ったわけではなく、10年間におよぶ取り組みであることに触れると共に、世界遺産登録地では、登録翌年に観光客数が増えるものの、その増加が持続していないことが多い点を指摘した。
明日香村役場と星野リゾートでは、2018年から2年間、お互いにスタッフを交換してきた。その2人が、会場とオンライン中継で登場。地域文化や地域遺産にどう重きをおいてきたかなど人材交流における気づきを語った。
人材交流の二人は、人工物の少ない明日香村で感じるきんもくせいの香りについて触れ、1400年の都である奈良をゆっくりと2、3日滞在して感じてもらう魅力を作っていきたいと意気込みを語った。ビデオには、明日香村長の森川裕一氏も登場し「プロジェクトを組む前に『星のや軽井沢』に行って、スタッフやおもてなしの優しさを感じ、星野リゾートと一緒に10年。ついに2027年に開業する」と感慨深げに語った。
「星のや飛鳥」は、「気に満ちた丘の辺」をコンセプトに2027年7月22日に開業予定。ホームページでは「明日香村と星野リゾート10年のあゆみ」も公開されている。敷地中央には、明日香村の棚田美を表現した段々の庭が広がる。客室は35室オールスイート。通称明日香法の法律に従って低層の造りである一方、客室は70㎡〜260㎡、全4タイプで天井高4mのゆとりがあるという。また、石室風呂を備えた客室もある。料金は1室1泊19万3000円から(税・サービス料込、食事別)。
落ちてきたインバウンド成長率、一つに依存し過ぎない戦略を
この後、星野リゾート代表星野佳路氏が市場分析に加え、関西観光マーケットへの提言も語った。観光は、2025年のインバウンド(訪日外客数)が4268万人に達したものの、その成長率は落ちてきており「数から質への転換期」に入っているという。中国からの訪日客が減って、それをカバーしきれていないからで、欧米豪を含めての全世界対応とインバウンドだけではなく国内市場の活性化が重要だと語った。
大阪は「アジア圏からの集客とUSJへの依存度が高い」という2点を解決しなければならない。もう一つ目玉となりそうなIRは、大阪中心部から離れている。集客の起爆剤としては大きいものの、併せて中心地にも足を向けて食やナイトライフを楽しんでもらう連携をどうとるかがポイントだと語る。
奈良は、日帰りでいけてしまうといった感覚の日帰り型から滞在型への転換を図ること。京都大阪に来て滞在している人の10%来てもらうだけでも圧倒的に伸びる余地があるという。
大阪・京都で顕著に増えてきたラグジュアリーホテルについては、採算は稼働率で決まるという。「星のや竹富島」や「星のや飛鳥」などには、景観規制などによって供給が増えにくい地域に建てているので需要の方が高く、また需給に合わせて価格をコントロールしやすい客室規模に絞っていると語った。
最後に、力を入れている点として、予約段階でアクティビティや食事までも自由にできる「FleBOL(フレボル、Flexible Booking Online)」のシステムで宿泊の選択肢を増やすことについて触れた。昨年に日程・人数・ルームタイプの変更がオンラインでできるようになった。FleBOLでは、チェックイン当日の午前9時までオンラインで予約内容を変更できる。宿泊日の変更は事務手数料1000円で、当初の宿泊日から90日以内の日程へ最大3回まで変更可能だ。
「旅館の1泊2食しばりがあるから、2泊する人が少ない。ハワイだと何泊もするのに1泊で終わってしまうのは自由度がないから」と、今年11月には食事の有無や内容(朝食をベジタリアンにするなど)も自由にできるようにし、2027年度には全施設への導入を目指すという。
「関西での観光、関西からの観光」の視点が明確だったプレス発表会。地域に寄り添いながらつくり上げるコンテンツの強さも際立ったものを感じた。






