「FSA」トップに聞く:早稲田大学アカデミックソリューション社長の大谷氏

教職員の海外校務出張をすべて手配
今後は他大学にもサービス提供を拡大

大谷氏  OTAの躍進や相次ぐ他業種からの参入などにより、業界環境の変化が進む現在の旅行業界。とはいえそのような状況でも、痒い所に手が届く高品質なサービスで利用者の信頼を勝ち取り、販売力を維持・拡大している旅行会社は多い。本誌ではそのような会社を「フルサービスエージェント(FSA)」と定義し、その力や役割を業界の内外に紹介すべく、今年からインタビュー記事の掲載を開始した(下記関連記事)。

 第5回は早稲田大学のグループ会社として同大学の運営をさまざまな面で支援し、そのなかの「国際交流支援事業」において教職員の海外校務出張の手配を取り扱っている早稲田大学アカデミックソリューションを紹介する。代表取締役社長の大谷俊昭氏とマーケティング室の室長を務める江口俊之氏に、旅行業に関する取り組みや今後の成長戦略について聞いた。(聞き手:トラベルビジョン代表取締役会長 岡田直樹)

-まずは早稲田大学アカデミックソリューションの歴史をお聞かせください

大谷俊昭氏(以下敬称略) 早稲田大学はさまざまな役割を担う関連会社を持っているが、そのうち旅行業を含めた、大学での教育・研究・語学教育などの支援サービスを提供する会社が合併し、2004年に早稲田大学アカデミックソリューションの前身となる会社を設立した。その後、14年に早稲田大学グループホールディングス傘下の複数の事業会社が統合されたのに伴い、現在の形態となり、社名も現在のものに変更した。

 旅行部門は04年の合併時に第3種旅行業を取得して立ち上げ、14年の統合の際には第2種に、18年1月には第1種に変更した。大学の関連会社で第1種を取得しているケースは他になく、これにより他の国内大学に向けても、短期留学プログラムなどを旅行商品として独自に 企画・造成するなど、一貫して業務を手掛けられるようになった。

-旅行部門の主な事業内容と規模を教えてください

大谷 旅行部門の主な仕事は教職員の海外出張の手配で、校務出張では当社を使う決まりとなっている。校務以外の研修や研究に関する出張などについては、必ずしも当社を利用しなくてもいいが、実際には使われるケースが多い。国内出張に関しては、他社を利用して手配・購入するケースも多いようだ。そのほか海外出張に加えて、先ほど説明した学生の留学プログラムも大きな柱の1つになっている。

 直近の売上高は44億円で、旅行部門については年間の取扱額が8億円に上る。 社員数は313名で、そのうち旅行部門には10名が在籍している。