MICE事例に学ぶ(1):実施者の決め手と観光局の施策-香港社員旅行より

  • 2011年11月1日

香港政府観光局では、香港ディズニーランドのあるランタオ島を社員旅行・報奨旅行の実施場所としてプロモーションしている  MICEを受注するためには、主催者であるオーガナイザーの目的を果たすことが大切だ。この目的達成のため、観光局やサプライヤーは自らの優位性、魅力をアピールするとともに、MICEを実施しやすい受け皿や仕掛けを整え、旅行会社はプランの企画やサポートを実施する。この4者それぞれの意思の合致が、MICEの成功には欠かせないといえよう。それでは、実際に行なわれたMICEではどのような点がポイントとなったか。今回はインセンティブについて、香港で8月中旬から10月上旬にかけて、熊本で医療福祉事業などを手がける桜十字グループが9班計600名で実施した社員旅行から考えたい。第一回は、旅行先の決め手と観光局の施策を中心にまとめた。


海外社員旅行は「自分磨き」と社内交流の機会
社員の旅行専門委員が企画など専門に担当

旅行委員は桜十字グループの事務局を中心に6名選定  桜十字グループでは年に1回、数回のグループに分かれて社員旅行を実施。病院の勤務などで普段、長期休暇がなかなか取れない中で、社員旅行で外国の文化に触れてもらい、人間としての魅力を磨き、それを患者さまに還元してほしいというグループ側の方針で、毎年海外で実施している。また、社員のモチベーションを上げるという側面に加え、普段交流する機会がないスタッフ同士が交流し、親睦を深める場としても社員旅行を活用しており、旅行中に全員参加のパーティーも開催している。

 旅行先は、病院スタッフの長期不在が難しいことから、2泊3日で旅行できるデスティネーションから選択しており、2009年は台湾、2010年は韓国で実施した。今回は8月中旬から10月上旬にかけて、9班に分かれて600名が香港を訪れた。

 桜十字グループでは、社員旅行をスムーズに実施するため「旅行委員」という社員旅行を企画・統括する専門委員を設けており、事務局を中心に担当している。旅行先の選定や現地の事前下見、宿泊ホテルや訪問先なども、旅行会社と相談しながら主体的に決定していくという。