日中韓、域外客獲得で共同プロモへ-域内は20年に3000万人
▽中韓、日本の旅行会社に「全面協力」要請-中国はマナー改善提案
12日の会見で太田氏は、年間3000万人の目標達成に向けた最大の課題として、「日本から中国、韓国への旅行者をどう増やしていくか」を強調。中国、韓国ともに有名な観光地やデスティネーションについては、「一通り訪問した人も多い」との見方を示し、「今後は3ヶ国の関係者がよく連携し、地方も含めて、日本人の興味にあう観光地の開拓、魅力ある商品の共同開発が大事になる」と語った。
観光庁によれば、3ヶ国の大臣会合に先立ち11日に開催された日中および日韓の2国間大臣会合では、中国、韓国ともに日本人旅行者数の回復に向け、日本の旅行会社から「全面的な協力」を得たい考えを表明。両国は、2国間会合に先立ち実施した日本旅行業協会(JATA)との会合でも、日本人が好むデスティネーションの開拓に向けたアイデアを要望し、JATAからは「率直な意見が得られた」という。そのほか、中国は2国間大臣会合で、ビザ取得要件のさらなる緩和などについても要望した。
今回の声明では、観光交流の拡大にあたり、「双方向の交流」「地域・地方の交流」「文化・スポーツ・青少年の交流」の3つを重視する方針を明示。日中韓の観光当局は民間の関係者と協力し、姉妹都市などの交流に併せたツアーの実施、国際的スポーツ大会を契機とした観光交流や共同プロモーション、3ヶ国の市場動向や統計などの情報共有など、広範囲にわたる連携の強化をはかるとしている。
また、日中韓の連携強化により観光交流の「質」の向上もめざしたいとした。今後は、各国の生活習慣の違いなどに起因するトラブルの解決や、旅行者の安全確保、「観光交流の危機時」における相互協力など、さまざまな課題に対する取り組みを、3ヶ国間で連携し、強化する。観光庁によれば、日中の2国間会合では李氏が国外での中国人旅行者のマナーについて言及。「初めて海外を訪れる人も多く、相手国のマナーを理解していないためトラブルを起こすことがある」との見解を示し、改善の必要があるとの考えを示したという。これに対して太田氏は、当局間での情報共有などにより対処していきたい考えを示した。
日中韓の観光当局は今後、「可能な部分から具体的な協力を進める」考え。なお、民間レベルでは5月22日から、JATAと全国旅行業協会(ANTA)と日本観光振興協会が、3000名規模の訪中団を派遣する。そのほか、JATAは「日韓国交正常化50周年プロジェクト」で、韓国北東部の江原道などに5000人を送客する方針。韓国の旅行業会は4月の最終週に、500人規模の訪日団を東北に派遣するという。第8回の日中韓観光大臣会合は2016年に中国の武漢で開催する予定。