オンライン旅行市場の現状と対策~PC抜くモバイルの急成長-WIT Japan
オンライン旅行市場に関する国際会議「Web in Travel(WIT)Japan 2013」で、日本のオンライン旅行市場は2ケタの伸びで伸長し、2015年には全旅行市場の約4割になるとの予測が発表された。急伸する市場だが、その中でも変化が起こっており、今やモバイル(スマートフォン)がPCを追い抜く勢いで浸透。そのすぐ後ろにはタブレットの影も見えている。今後のオンライン販売やマーケティングにはどのような観点が必要だろうか。そのヒントとすべく、WITで発表された調査機関とオンライン旅行事業者による市場のトレンドと販売状況をまとめた。
日本のオンライン市場は国内線が先行
OTAのシェアは3割強
まず、世界のオンライン旅行市場だが、フォーカスライト日本代表の牛場春夫氏によると、日本を含むアジア・太平洋地域が著しい発展を遂げている。2011年のオンライン販売額(航空会社、ホテル、レンタカー)は約3300億米ドルで、最大市場である欧州の約3500億米ドルに迫る勢いだ。2ケタ増の伸びで推移しており、2013年には世界1位になると予測。日本はアジア・太平洋地域で約4割のトップシェアであったが、2013年には1位を中国に明け渡すことになりそうだ。アジア・太平洋の中の成長は、中国、そしてインドが群を抜いているという。
日本のオンライン旅行市場の話に戻ると、2011年の旅行市場全体(7兆7450億円)におけるシェアは約3割(2兆2140億円)となり、右肩上がりで推移している。東日本大震災の影響で全体は前年比4%減となったものの、ネット販売は5%増となり、災害時に強いのもネット販売の特徴だと牛場氏は言う。今後はアベノミクス効果で総需要が3%から4%増加すると見込まれているが、ネット販売は2ケタ増の成長を予想。2015年にはシェアを10%押し上げ、旅行市場の4割がネット販売になるとの予測を披露した。
オンライン市場の内訳を見ると、航空、ホテル、新幹線で全体の約9割を占める。特にオンライン化が進んでいるのは航空会社で、全売上の43%を占める。フルサービスキャリアの国内線の約6割、LCCを含むその他国内線の約7割がネット販売によるもので、特に国内線で進んでいる。そのほかのオンライン化率は、ホテルは29%、新幹線は20%だ。
オンライン市場に占めるOTA(オンライン・トラベル・エージェント)の取扱いだが、全体の36%に限定される。取扱いが多いのはホテルで、ホテルのネット販売の74%がOTA経由だ。一方、航空会社(OTA率:17%)、新幹線(同:14%)は直販率が高い。牛場氏は、世界的にホテルはOTAの販売が強いとしながらも、今後は直販率が高まると予測。特にビジネスホテルなどの直販化が進むとする。
また、OTA市場の内訳は楽天トラベルとリクルート(じゃらん)がそれぞれ31%で6割を占め、次いでi.JTBが12%、一休が3%。以上4社で2011年の売上額は8935億円だ。世界のオンライン旅行市場が一定の企業で寡占化状況にあるが、日本市場でも起こっているという。
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