ATWSの成果と課題は?MICE誘致にはサステナビリティに関する発信急務-JNTOメディアブリーフィング

30年までに国際会議開催件数世界5位以内を目標に
サステナビリティに関する情報発信強化

 今年5月に閣議設定された「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」では、25年までにアジア主要5カ国における国際会議の開催件数に占める割合を3割以上、30年までにアジアNo1の開催国として不動の地位を確立し、国際会議開催件数を世界5位以内に、という目標が掲げられた。

 MICEは大きな経済効果が見込める一方で、多くの資源を消費することが課題とされている。そのため近年の開催地選定には、環境やDEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)への配慮、開催によるレガシー創出など「サステナビリティに係る取り組みの有無」が重要な要素となっている。

 サステナビリティに関する日本の評価、イメージについて、海外有識者に対し行った調査によると、発達した公共交通機関や先進的な技術が強みとなる一方で、プラスチック利用率の高さや言語面での利便性の課題などが弱みとして挙がった。特に、日本がサステナビリティに取り組んでいるイメージがないという声も多く、JNTOとしては情報発信を強化したい考え。

 具体的な施策として、サステナビリティに関する日本の取り組みなどを紹介するページをMICE専用サイトに掲載。加えて、今後はSNSからの発信も強化していくという。MICEプロモーション部 市場戦略グループマネージャーの鈴木結佳氏は「多くの国際会議を誘致するために、誘致に評価されやすい取り組みを推進し、しっかりと対外的に発信を続けていきたい」と述べた。

地方誘客促進へ
航空・旅行会社と連携

 観光庁「宿泊旅行統計調査」によると、1~7月の都道府県別外国人延べ宿泊者数は東京都が19年同期比130%を記録しているものの、比較すると地方は全体として回復が遅れている。

 1~7月の地方部における国籍別延べ宿泊者数では、米国とシンガポールが19年同期比100%越えを記録したものの、今後はコロナ前に地方宿泊数の多かった東アジア市場の回復が鍵となりそうだ。

 「地方誘客促進」を図りたいJNTOでは、航空会社、旅行会社と連携した地方訪問促進キャンペーンを展開中。地方訪問意欲が高く、リピーターが多い台湾、香港、タイを重点ターゲットに指定している。

 具体的には、台湾市場へは大手旅行社LION TRAVELと連携し、地方路線利用ツアーの販売促進及び、インフルエンサーによる最新情報の発信などを行った。販売したツアーは2週間で4200人以上が予約した。 その他、香港・タイ市場へはPeach と連携し割引クーポンの提供。旅ナカ予約サイトKlookとも連携し、台湾・タイ市場向けに割引クーポンの提供などを行っている。