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21年入社式:日本航空代表取締役社長 赤坂祐二氏

  • 2021年4月5日

  新入社員の皆さん、ご入社おめでとうございます。JALグループを代表しまして、皆さんを心から歓迎申し上げたいと思います。2年ぶりにこの羽田の格納庫で、新入社員の入社式を迎えることができました。ただし、本日もこうして十分な感染対策を取りながら、実施しています。

 まだまだ気の抜けない日々が続いております。皆さんもこの入社にあたっては、本当に大きな不安あるいは心配、こういうものを抱えての門出になっているのではないかと思います。また、今日ここにおられる皆さんの半数近くは、当初の入社時期を大変遅らせてしまい、本当に申し訳ございませんでした。新型コロナウイルスの影響はまさに今、世界中を駆け巡っており、経済社会が一変しております。中でも、私ども航空業界は、かつてない甚大な影響を受けています。こうした中で、私たちJALグループは全社一丸となって3つの戦いを続けています。

 1つ目は「コロナの感染からお客さま、あるいは社員を守る」、この戦いです。安全安心な旅をご提供するためにさまざまな技術あるいは工夫を取り入れながら徹底した対策を行うことによって、今JALは国際的な認証機関から清潔性についての最高評価を受けています。

 2つ目は「航空輸送を守る、維持する」戦いです。世界中で今、人の移動が制限を受けており、多くの航空便が停止するというまさに異常な事態になっていますが、JALグループも国際線を中心に大幅な減便を行なっています。こうした中でも、医療従事者の方々、あるいは何としても家族のもとに帰らなければならないそういった人々、そして、貨物いわゆる物流、こうした絶対に止めてはいけない人や物の移動、これに必要な航空路を、安全・安心、これとともに確保し続けていかなければなりません。

 3つ目は「会社を守り社員を守る、社員の生活を守る」戦いです。大幅なお客さまの減少によって、会社の経営も極めて深刻な影響を受けています。徹底したコスト削減、あるいは投資の抑制などに加えまして、各方面からのさまざまなご支援をいただきながら、この苦境を全社員で乗り越えてまいります。

 ポストコロナを待ち侘びている多くの皆さまを笑顔でお迎えするために、何としても今を凌ぎ、万全な状態でこのコロナを切り抜けてまいります。

 さて、今まさにこうした戦いの只中にあるわけですが、JALグループの社員は決して希望を失わず、今できることに全力を尽くして今後の準備を着々と進めているところです。常に明るく前向きでどんな状況にも勇気を持って立ち向かう、まさに航空人としての真骨頂を発揮してくれています。どうか皆さんもともに、この歴史的な危機と、誇り高く戦って参りましょう。

 次に、皆さまがJALグループの一員になるにあたりまして、私から一つだけお願いをさせていただきます。それは皆さんがまずそれぞれの道のプロになってほしいということです。皆さんはこのあとそれぞれの会社あるいは職場において、専門的な業務を習得していくことになります。航空の仕事の特徴は、数多くの分野のプロフェッショナルそれぞれが役割を果たすことで、安全運航が成り立つということです。全ての職種、いかなる仕事でもそれが一つ欠けると、たちまち飛行機が止まってしまいます。航空のプロはチームワークの重要性を決して忘れないものです。安全を守るチームの一員として、自分の役割の大切さを自覚し、他の分野のプロの皆さんと互いにつながり、尊敬の念を持って、そうした想いを航空機の安全につなげる、そうした立派なプロになっていただきたいと思います。

 最後になりますが、航空の将来は決してこのコロナによって脅かされるものではありません。従って、皆さまの将来も明るく希望に溢れるものになる、これを私は確信しております。なぜなら、この社会にとって、航空はなくてはならないものであり、これは将来も変わりはないからです。

 移動のリスク、人と人との接触が制限される一方で、移動の重要性と人と人とのつながりの大切さが改めて見直されています。むしろ、航空の新たな役割、新たな価値が生まれてくるはずです。一方でこうした航空の将来のためにも、地球環境や地域社会の問題と真剣に向き合い、その解決に向け、私たちも直ちに行動していく必要があります。皆さんはこうした社会の大きな転換期にJALグループに入社されたこと、そして、新しい社会、新たな航空の歴史を創り出していくことに是非大きな希望と誇りを感じていただきたいと思います。

 皆さんの輝かしい未来、皆さんのこれからのご活躍を祈念いたしまして私からの激励の言葉とさせていただきます。 本日は誠におめでとうございます。