HISが開始した新たな「スマホ接客」とは-ビデオ通話で予約獲得へ

チャットやビデオ通話を活用、予約まで一気通貫
40代から60代に好評、顧客単価上昇も

 エイチ・アイ・エス(HIS)はチャットコマースを提供するZeals(ジールス)と、チャットボットと有人チャット、ビデオ通話を組み合わせたシステム「接客DX(デジタルトランスフォーメーション)」を開発し、このほどHISのスマートフォンサイトで試験提供を開始した。スマートフォンサイトからLINEのチャットに誘導し、利用者とのやり取りを通してHISスタッフによるビデオ通話を使った「ビデオ接客」につなげることで、旅行商品の予約に結びつける仕組みだ。

スマートフォンサイトに案内バナーを表示  現在はHISのスマートフォンサイトを回遊している人を対象に「HISオンライン店」の案内をポップアップ形式で表示。案内をクリックするとLINEアカウントの友達登録画面につながる仕組みで、登録するとAIが24時間チャット形式で質問に答えてくれる。8つの質問の回答結果に基づいて最適なツアーを案内するほか、自由回答の質問にもジールスのスタッフが「有人チャット」で対応する。

 より深く相談したい利用者には、HISのスタッフが自社システムを活用してビデオ接客をおこなう。店舗が近くにない利用者に加え、コロナ禍で外出を控えたいという利用者のニーズにも対応する考え。ビデオ通話なので、遠方の家族が一度に旅行の説明を聞けるというメリットもあるという。

接客DXの流れ(クリックで拡大) 

 HISはこれまでもオンライン販売を強化してきており、今回の取組もその一環だ。同社の2019年10月期(18年11月1日~19年10月31日)は、海外旅行事業におけるチャネル別の送客数で店舗が41.1%、インターネットが44.9%、コーポレートが14.0%となり、初めてネットが店舗を逆転した。売上高でも店舗が50.6%、インターネットが30.6%、コーポレートが18.8%で、店舗は上回らなかったがインターネットは初めて売上高の30%を超えている。

 今年の6月25日に開催した20年10月期第2四半期の決算会見では、今後1年以内に国内店舗を80軒から90軒閉鎖する考えを発表。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大以前から計画していたものだといい、収益の減少はオンラインの強化で補っていく方針だ。