日本公庫に旅行会社の融資相談60件、新型コロナの影響拡大
政府は2月13日に「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」をまとめ、入国管理や国内感染対策の強化、帰国者への支援などに対する方針を打ち出した。加えて影響を受ける産業などへの対応も発表したが、このなかで政府系金融機関や信用保証協会などのために緊急貸付・保証枠として5000億円を確保したことを受け、一時的な業況悪化に見舞われている中小・零細企業などへの資金繰り支援の動きが加速している。
このうち、主に中小企業への融資を行っている政府系金融機関の日本政策金融公庫(日本公庫)は、特別相談窓口を全支店に開設するとともに、これらの企業に対して売上高の減少の程度などに関わらず「セーフティネット貸付」(経営環境変化対応資金)の対象とするよう要件を緩和。本誌の取材に応じた日本公庫によれば、18日までに約700件の相談があり、そのうち60件程度が旅行会社による相談だったという。申請件数については20日時点では把握できていないとのこと。
日本公庫によれば「セーフティネット貸付」は、「外的要因により一時的に業況悪化をきたしているが、中長期的には業況が回復・発展することが見込まれる」事業者が対象。個人企業や小規模企業向けの小口資金を融資する「国民生活事業」として実施する場合、融資限度額は4800万円までとし、大口の長期資金のみを対象とする「中小企業事業」の場合は7億2000万円となる。運転資金を融資する場合の融資期間は8年以内で、設備資金の場合は15年以内。基準利率を適用し、元本を返済せず利子だけを返済する据置期間はそれぞれ3年以内となる。担保や保証人、返済方法などは各社の状況に応じて決定する。
日本公庫はそのほか、旅館業や飲食店営業などの事業者向けには、国民生活事業として特別に「新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付」を実施。直近1ヶ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して10%以上減少し、かつ今後も売上高の減少が見込まれること、中長期的に業況が回復・発展することが見込まれることを条件として、旅館業者には別枠3000万円、飲食店および喫茶店営業者には別枠1000万円を融資する。融資期間は7年以内で据置期間は2年以内。利率は基準利率で、振興計画の認定を受けた生活衛生同業組合員についてはさらに0.9%を割り引く。取扱期間は2月21日から8月31日まで。